2019 Fiscal Year Research-status Report
1945年のアメリカによる対日原爆使用の決定におけるイギリスの同意の意義
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18K01466
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 康博 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70243277)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 原爆の開発と使用 / イギリス / チャーチル |
Outline of Annual Research Achievements |
実施期間3年のうちの第2年目には次のような研究をおこなった。 まず第1に、ロンドンにあるイギリス国立公文書館において、イギリス政府関係資料の第1回目となる本調査を行なった。調査対象としたのは、第二次世界大戦期のチャーチル政権による原爆の開発と使用への関与に関する文書である。具体的には、同公文書館が「CAB」や「PREM」という名前を付けて分類し所蔵している一連の文書ファイルのうちの一部である。第1回本調査の実施によって、原爆の開発と使用をめぐる米英関係に関わるイギリス側の政策検討文書の一定量を閲覧することができた。それに加えて第2に、先行研究のうちの重要なものや、公刊されている政策決定者たちの手による日記などを参照した。このような研究活動によって、一次資料の閲覧と収集を目的とする2回目以降の本調査をさらに進める基盤を固めることができた。他方では、公刊一次資料などの参照を進めるにつれて、研究課題の解明にわずかでも近づくことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題で研究活動の中心となるのは、一次資料の閲覧・収集と収集した資料の整理と分析である。実施期間が3年である本研究課題の第2年度には、イギリス国立公文書館での第1回目となる本調査を行なった。けれども、追加の調査として予定していた第2回目の本調査は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて実施できなかった。そのために、閲覧予定資料リストにありながらまだ閲覧できていない文書ファイルが多く残っている。その一方で、本研究課題に関わる先行研究や公刊されている一次資料(Field Marshall Lord Alan Brooke, War Diaries, 1939-1945 [London: Phoenix, 2002])を参照する作業を進めた。その結果、研究動向についてより広い理解を得るとともに、研究課題についての公刊一次資料による研究の裏付けがわずかながら進んだ。 このようにみると、研究実施第2年度にはイギリス国立公文書館が所蔵する一次資料の本調査の基盤を固めることができたものの、第2回目の本調査を実施できなかったことによって、本研究課題の遂行は予定よりも遅れていると言わざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの進捗状況を踏まえると本研究課題実施の最終年度に当たる次年度には、イギリス国立公文書館において一次資料のさらなる調査を実施することが不可欠である。しかし、イギリスにおける新型コロナウィルスの大規模な感染拡大が今後どう展開するかによっては、日本から同国への渡航制限や同公文書館の閉館がさらに続くことが予想される。そのような場合には、本研究のこれ以上の推進はとても困難なものとなり、本研究課題の実施を中止せざるを得なくなる可能性がある。もし本研究のこれ以上の推進が困難となった場合には、第2年度までに閲覧・収集した一次資料の整理と分析などに基づいて本研究課題のとりまとめを行なわざるをえなくなるだろう。
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Causes of Carryover |
31万3622円の次年度使用額が生じたのは、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、予定していたイギリス国立公文書館における第2回目の本調査を実施できなかったことによる。それを次年度の旅費の一部にあてて使用する計画である。
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