2020 Fiscal Year Research-status Report
1945年のアメリカによる対日原爆使用の決定におけるイギリスの同意の意義
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18K01466
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 康博 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70243277)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原爆の開発と使用 / イギリス / チャーチル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で研究活動の中心となるのは、一次資料の調査・閲覧と収集した資料の整理と分析である。実施期間を当初3年と予定していた本研究課題の第2年度(2019年度)にイギリス国立公文書館での第1回本調査を行なった。しかし、新型コロナ・ウィルスの感染拡大により同館の利用が大きく制限されたために、実施を予定していた第2回目以降の本調査を2020年度には実施できないまま現在に至っている(そのようなことから本研究課題に対する補助期間の延長を申請することとなった)。そのため、閲覧予定の資料としてリストアップしているもののまだ閲覧できていない文書ファイルが多く残っている。そのような資料の調査と収集の状況であることから、現在までに閲覧し収集できた一次資料は、量としては十分なものではない。 したがって、現在までに進めたのは、第2年度(2019年度)までにイギリス国立公文書館で収集した資料の整理と分析である。その結果、アメリカによる対日原爆使用へのイギリスの関与の問題に光をあてるものが、これまで分析した一次資料の中にいくつかあることがわかった。その一例が、1944年9月にイギリスのチャーチル首相とアメリカのローズヴェルト大統領が合意した「ハイドパーク覚書」のあつかいに関わるイギリス政府内での検討過程を示す資料である。もう一つの例は、英米合同政策委員会での協議に関するイギリス政府側の動向についての資料である。それらの資料は、イギリス政府による原爆対日使用への関わりの一端を示すものであるが、他の資料についての分析とあわせたさらなる分析を必要とする。 それと同時に、先行研究(John W. Wheeler-Bennett, John Anderson, Viscount Waverley [New York: 1962])の参照も行ない、公刊資料を使っての研究の拡大を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一次資料の調査・閲覧が本研究課題の遂行において不可欠であるが、新型コロナ・ウィルスの感染拡大の影響を受けてそれを十分にできていない。その結果、閲覧予定資料リストにありながらまだイギリス国立公文書館で実際に閲覧できていない文書ファイルが多く残っている。 このように、当初予定では研究実施の第3年度にあたっていた2020年度には、イギリス国立公文書館が所蔵する一次資料の第2回目の本調査やさらに追加的な資料調査を実施できなかった。したがって、本研究課題の遂行は予定よりも遅れているものと言わざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの進捗状況を前提とすると、本研究課題実施の最終年度に当たる次年度には、イギリス国立公文書館において一次資料のさらなる調査・閲覧を実施することが不可欠である。しかし、新型コロナ・ウィルスの感染拡大状況によっては、日本から同国への渡航制限や同公文書館の利用制限がこれからも続くだろう。そのような場合には、本研究のこれ以上の推進は困難なものとなり、本研究課題の実施を中止せざるを得なくなる可能性がある。もしそうなれば、第2年度までにイギリス国立公文書館において閲覧・収集した一次資料の整理と分析などに基づいて本研究課題のとりまとめをせざるをえなくなるだろう。
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Causes of Carryover |
71万3622円の次年度使用額が生じた最大の理由は、新型コロナ・ウィルスの感染拡大の影響を受けて、予定していたイギリス国立公文書館における所蔵資料の調査・閲覧をまったくできなかったことである。次年度使用額を、前年度と同じく、同公文書館における研究活動のための旅費として主に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)