2020 Fiscal Year Research-status Report
日中韓大学間交流と北東アジアにおける集合的アイデンティティの形成
Project/Area Number |
18K01467
|
Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
杉村 豪一 常葉大学, 法学部, 講師 (80739516)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MASLOW SEBASTIAN 仙台白百合女子大学, 人間学部, 講師 (10754658)
米沢 竜也 神戸大学, 国際連携推進機構, 特命助教 (80804997)
木村 幹 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (50253290)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 大学間交流 / 留学 / 国際認識 / アイデンティティ / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北東アジア地域における大学間交流の国際関係上の役割を明らかにするものである。そのために、日中韓の大学が展開する「キャンパス・アジア」を事例に取り上げ、学生の留学経験が対外認識や集合的アイデンティティの形成に与える影響について分析を行ってきた。 令和2年度は、主にここまでの研究成果のとりまとめを進めてきた。まず、一連の研究で得られた知見を整理し、その上で海外の研究者を交え全体的な研究成果の検討を行った。さらに既存のデータを用いたさに詳細な分析を行い、国際共著論文(次年度投稿予定)の執筆を進めた。また、その過程でこれまでの研究の不十分な点を洗い出し、それらに対応するために今後行う追加調査の準備も進めた。以上の研究成果の一部は、国内の研究会やオンラインで実施された国際シンポジウム等において報告された。 これまでの研究からは、留学経験は学生の対外意識の改善や地域的アイデンティティの醸成に寄与するということ、その効果の大きさが留学プログラムに対する満足度をはじめとする様々な要因に依存するということなどが明らかになっている。以上の研究は、東アジア地域においては実証的には十分に検討されていなかった教育分野での交流が、人々の国際認識に及ぼす影響を明らかにするものであり、この点において本研究は学術的な貢献を果たすものであったといえる。また、それとともに該当地域における将来的な国際協調の可能性を検討する上で重要な知見を提供するものであったと評価することができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、いくつかの点で研究に遅延が発生した。たとえば、当初予定していた国際学会での発表や大学関係者を招いての国際シンポジウムの開催を断念せざるを得なかった。また、図書館の使用制限などにより文献の入手が困難となり、論文の執筆も例年通りのペースで進めることができなかった。加えて、これまでの研究を補完するために不可欠な、留学経験者を対象とする追加調査も十分には進めることができなかった。これら年度内に完了することができなかった事項については、次年度に持ち越して進めていく予定である。他方で、海外の研究者とのオンラインでのやり取りの中で、研究を一層普遍的なものへと発展させるための手掛かりを得られたこと、またそれに沿って今後の研究を進める上で必要な準備を進められたことは、当初の想定を超える進捗であったといえる。 以上を踏まえ、本研究の進捗状況を「やや遅れている」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる令和3年度の方針は以下の通りである。まず、できる限り早い段階で昨年度に実施できなかった補足的な調査を実施する予定である。それにより必要な情報を集めた上で、論文の執筆・投稿、国内外の学会、研究会での報告を進めていくことを考えている。これらを通じて、本研究を総括しその成果を社会に広く発信していくことが令和3年度の中心的な研究の目標となる。また、海外の研究者と協力し、「キャンパス・アジア」以外の留学プログラムを含めた追加の調査を行うことも予定している。これにより、本研究を視野の広い体系的なものへと発展させることが可能となると考えている。加えて、当初より開催を予定していた留学プログラムを運営する大学関係者を招いての国際シンポジウムも執り行う予定である。ただし、海外から関係者を招き対面形式でシンポジウムを開催することは困難であると考えられる。そこで、オンライン上でこれに代わる機会を設けることを前提に準備を進めていくつもりである。 今後は、以上の方針に沿って本研究を完成させていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、令和2年度は当初予定していた海外での研究報告、国際シンポジウムの開催、対面での補足的調査等を想定していた通りに行うことができなかった。次年度使用額が発生したのは、これらを次年度に行うために必要となる経費を繰り越したためである。次年度使用額は、令和3次年度における追加的な調査のための旅費や人件費、学会や研究会等への参加費、およびオンラインでの国際シンポジウム開催や関連する論文の投稿のための諸経費として使用したいと考えている。
|
Research Products
(6 results)