2018 Fiscal Year Research-status Report
東アジア冷戦構造の変容と北朝鮮の核開発、在沖米軍基地の性質変化の関連性について
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18K01470
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
金 成浩 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (60325826)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 韓国外交 / 北朝鮮の核開発 / 北東アジアの国際関係 / 日本外交 / ソ連外交 / 中国外交 / 北朝鮮外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、申請した研究実施計画に基づき、東京の日本外務省外交史料館および韓国ソウルにある韓国外交部外交史料館および現地の大学図書館等において、1980年代の日本外交および韓国外交にかかわる資料調査をおこなった。この調査は、いずれも、外交史料の新規公開を受けたものであったため、研究上、重要な文書も数多く含まれていた。また、同時に、東京およびソウルにおいて、北朝鮮外交に関する文献の収集も合わせておこなった。 上記調査等に基づき、本科研費にかかわるテーマで二つの論文の執筆に取り組んだ。 まず、一つは、1980年代の韓国外交と北東アジア国際関係の構造変動に関するものである。これは、公文書史料(一次資料)に基づき新たな知見を含めたもので、当時の韓国がどのように中国およびソ連との関係改善を考えていたか、日本やアメリカとの連関性も視野に入れ分析した。また、1980年代の北東アジア国際関係の構造変動についても、多角的なマルチ・アーカイブによる手法から言及した。この論文は、日本国際政治学会の研究紀要(査読付き)において公表した。 また、二つ目は、ロシアと北朝鮮の二国間関係に着目したものである。本研究テーマの一つである「北朝鮮の核開発の淵源」を分析する場合、ソ連・ロシアと北朝鮮との関係性を把握することが必要とされる。そのため、1950年代の朝鮮戦争から現在に至るまでの朝ソ(露)関係について概観し、この二国間関係の変化についての分析を通史的におこなった。北朝鮮の核開発の淵源には、ソ連と韓国の国交締結が深くかかわっていたこと、ソ連崩壊後のロシアは、北朝鮮との関係修復に重点を置いていたことなどを、ロシア側文書も捕捉しながら論述した。この論文は韓国語で執筆され、他の研究者とともに共著本として出版されたが、何らかの形での日本語での公表も検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度は研究開始年度でもあることから、当初は、基礎的な資料調査のみを行う予定であった。しかし、韓国外交部および日本外務省からの新外交史料の公開があったこと、それを受けて新知見を含む論文の作成も可能となったことから、当初計画以上に研究の進展が見られた。すなわち、2018年度末には、1980年代前半から中盤にかけての韓国外交と北東アジアの国際関係の関連性について論文を公開することができた。 また同時に、ロシア(ソ連)と北朝鮮との関係性についても基礎的調査を終えることができ、2019年度にそれも公表する目途がたったことから、「当初の計画以上に進展している」という評価にいたった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は米国の東西センター、および北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターでの資料調査をおこなう予定である。東西センターでは、米国と北朝鮮関係や在沖米軍基地に関連する資料調査をおこなう。また、同時に、東西センター研究者との意見交換を行う。また、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターでは、ソ連およびロシアと朝鮮半島との関係性に関連する文献調査をおこなうと同時に、センターの研究者とも意見を交換する。そのうえで、2019年度末には、本研究課題に関する論文を公表する予定である。 また、さらに翌2020年度には、ロシアでのアーカイブ調査を実施する予定で、同時並行的に本研究課題の研究に関連した著作の執筆もおこなう。
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Causes of Carryover |
2019年度は、所属大学より研究サバティカルの許可を得たことから、授業などの学務が免除され研究に専念できることとなった。そのため、2018年度の使用額をなるべく抑制し、2019年度に研究予算を回し増額することとした。 これにより、米国や日本(北海道)でのアーカイブ調査において、より時間を割くことが可能となる。以上が、次年度使用額が生じた理由である。
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Research Products
(2 results)