2018 Fiscal Year Research-status Report
Analyzing the Reforms of the International Monetary Fund and the World Bank - For Grobal Public Goods or National Interests?
Project/Area Number |
18K01480
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
大森 佐和 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20419253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際通貨基金 / 世界銀行 / 金融改革 / 金融自由化 / 政府開発援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グローバル化の推進者であり新自由主義改革の推進者であるとみなされてきた国際通貨基金(IMF)と世界銀行(WB)が、アジア金融危機以降、特に世界金融危機以降加速させてきた改革を通じ、不透明性を増す現在の国際社会にあって、果たして主要国の国益追求を求める声の中にあっても、世界金融システムの安定や貧困削減というグローバルな公益をもたらす上での役割を果たすのに十分な変容を遂げてきたかを検討することにある。 このため、第一に、IMFやWBが加盟国に対してどの程度グローバル化の推進者として経済金融自由化に影響を与えてきたか、世界金融危機後にその影響がどの程度変容したかを、加盟国の対外的・国内的な金融改革を分けて検討を行う計画である。 2018年度は、10月12-14日にインドネシアで開かれたIMFと世界銀行の年次総会に伴うセミナー等に出席した。現在のIMFや世界銀行がフィンテックなどの新技術をどうとらえているのか、NGOとブレトンウッズ機関との関係性を知る機会を得た。また、2019年3月にカナダのトロントで開催されたInternational StudiesAssociation 2019 Annual Conventionにおいて、”Analyzing the Roles of the IMF and the WB on Externally and Domestically Oriented Financial Reforms”というタイトルでパネルにて学会報告を行った。対外的な金融改革の方がIMFやWBの影響によって行われるものの、国内の政治制度による影響を受けにくい一方で、国内向けの金融改革では、IMFやWBの影響だけでなく、選挙の時期や重大な政治体制の変動といった、国内の政治制度による影響を受けやすいという計量分析の結果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の、IMFやWBが加盟国に対してどの程度グローバル化の推進者として経済金融自由化に影響を与えてきたか、世界金融危機後にその影響がどの程度変容したかを、加盟国の対外的・国内的な金融改革を分けて検討を行うという研究計画に対して、2018年度は、2019年3月にカナダのトロントで開催されたInternational Studies Association 2019 Annual Conventionにおいて、”Analyzing the Roles of the IMF and the WB on Externally and Domestically Oriented Financial Reforms”というタイトルでパネルにて学会報告を行った。 金融改革データベースを用い,資本収支の自由化や証券市場の外国人投資家への開放、外国の銀行の参入自由化などの対外的な金融改革と、国内の銀行の民営化や銀行利子率の自由化などの国内向けの金融改革を分けて、これらを従属変数とし、計量分析を行った。対外的な金融改革の方がIMFやWBの影響によって行われるものの、選挙の時期や重大な政治体制の変動といった、国内の政治制度による影響を受けにくい一方で、国内向けの金融改革では、IMFやWBの影響だけでなく、選挙の時期や重大な政治体制の変動といった、国内の政治制度による影響を受けやすいという計量分析の結果を得て報告した。討論者からは有益なフィードバックを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
IMFやWBが加盟国に対してどの程度グローバル化の推進者として経済金融自由化に影響を与えてきたか、対外的・国内的な金融改革を分けて検討を行った前述の学会で報告した論文を改稿し、国際学術誌に投稿する予定である。 また、金融改革データベースのウェブページでの公開を目指し、データベースに関する論文を書き投稿する予定である。また、第二の研究計画として、従来明らかでなかった中国の政府開発援助について、研究機関により、中国の二国間援助データが限定的ながら作成され始めたため、中国という新しい主要拠出国からIMFやWBがどの程度影響を受けているか否かを他国と比較し検討を行うという計画をしている。こちらを2019年度は前述の論文とともに進めてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
カナダのトロントで行われたInternational Studies Association 2019 Annual Conventionでの学会発表は、3月末から4月にかかる出張であったために、出張にかかる費用が2018年度ではなく2019年にまたがる請求となったために、使用計画とは差額が生じた。
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Research Products
(1 results)