2019 Fiscal Year Research-status Report
Making of International Thought in modern Japan: International Cultural Relations as "Encounter with the unknown"
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18K01481
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
芝崎 厚士 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (10345069)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際関係論 / グローバル関係論 / 国際文化交流 / グローバル文化交流 / 国際関係思想 / グローバル関係思想 / 国際文化論 / グローバル文化論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、単著『国際文化交流と近現代日本』(有信堂高文社、2020年2月)、論文「「ボブ・ディランという音」(『平和研究』51号)、論文「日本の国際関係研究における「固有の方法」と「共通の課題」」(『国際政治』200号)、A Conversation with Antonio Negri: Empire before and after, Multitude, Passion and Emotion, Bob Dylan and Michael Moore, and more.( GLOBAL EUROPE Basel Papers on Europe in a Global Perspective (118) 1 - 27 2019年12月)といった業績を、研究課題の中核をなす、学際的な理論的・思想的考察として発表した。 いずれも「未知との出会い」にもとづく国際関係思想・グローバル関係思想を研究する上で基礎的かつ根源的な考察を構築する上で、重要な立脚点を確立する上で重要且つ意義深い考察を行うことができた。またNegriとの対話においては、研究代表者の問題関心が世界的な意味で重要性を持っていることを改めて確認することができた。「ボブ・ディラン」論においては、「未知との出会い」において人間が、感性や理性の面においてどのように共鳴し、そこから何が生まれるかを、個別具体的な研究の中で示すことができた。『国際政治』論文ではこれらの諸発見をもとに、日本において国際関係を研究することの今後の意義を、グローバル・ヒストリーや人新世をめぐる議論との関連の中で包括的に検討した。学会報告においても、2019年度の日本平和学会で、上記ボブ・ディラン論を発表し、参加者とのあいだの「未知との出会い」を通常の学会の形式からよい意味で脱却した双方向的なワークショップ形式を取り入れることで達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「概要」記載の業績により、「未知との出会い」に関する中核的な理論的・思想的課題を学際的なアプローチによって大きく前進させることができたと同時に、箱根会議関連の諸研究に関する実証的分析をそうした理論的・思想的分析と同時に完成させることができたという意味では、研究は予想以上に大きく進展したと考えられる。 その一方で、中核的な理論的・思想的課題が当初予期した以上に幅広い学際的な領域にわたることが判明し、またそれらを統一的に把握するような理論的・思想的な視座を確立するためには、当初予想した以上に多くの検討課題が必要であることも判明した。そのため当初予定していた、箱根会議関連につづく、坂本義和・緒方貞子・入江昭などといった研究対象に関する幅広い基礎調査や実証研究を大きく進めることは必ずしも十分にはできていなかった。 以上2点から総合的に判断して、(2)おおむね順調に進展している、と評価できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は次の3点である。 第1に、2019年度までの研究業績に関して、国内・海外の諸研究者たちと幅広く意見を交換して、研究業績に関して議論を深めることで、今後の課題や共同研究の可能性などを幅広く検討していくことである。具体的には、学会そのほかで諸業績に関して議論する場を広く持ち、また英語を初めとする外国語での研究成果の公開に注力することである。このことは、本研究が完了した来年度以降、本研究課題の成果をもとにさらに研究を継続・発展させていくことにも寄与するものと考える。 第2に、「未知との出会い」を学際的に研究するために取り組むことが必要な理論的・思想的な課題をさらに発見し、その諸課題について1つ1つ、相互の関連性を意識しながら研究を進めることである。 第3に、箱根会議関連の諸研究に続く、理論的・思想的課題とリンクする形での実証研究のための基礎調査、分析を進展させることである。
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Causes of Carryover |
年度末に資料調査のため、国内・国外への出張を予定していたが、コロナウィルスの影響もあって多くを見合わせる結果となったため。次年度使用額は、研究業績を広く議論するための献本などにあてる。
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