2019 Fiscal Year Research-status Report
Cultural Policy for Stability and Creative Development of International Society: The Case of Germany
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18K01483
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
川村 陶子 成蹊大学, 文学部, 教授 (80302834)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際関係論 / 文化政策 / ドイツ / 文化外交 / 移民統合 / 多文化共生 / 文化交流 / デジタル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多様な文化的背景をもつ〈ひと〉が交錯する国際社会の安定と創造的発展のための政策実践のあり方を、ドイツの経験にもとづき総合的に検討する。異なる政策分野で行われる文化の伝達・交流・振興を、国際関係運営の文化的運営行為として調査分析し、新しい理論枠組みの構築にもつなげていく。 2019年度は、理論枠組み構築、ドイツの政策実践状況調査それぞれで有意義な進捗があった。 理論面では、 2019年10月に日本国際政治学会の分科会「国際交流」で研究報告、11月に台北で開催されたENCATC/TAPCS(欧州文化経営・政策ネットワークと台湾文化政策学会の共催)アカデミーでパネル報告を行った。後者は台湾文化政策学会からの招聘である。多様な政策分野で行われる国際文化関係運営関連施策を「文化関係政策(cultural relations policy, CRP)」として総合的に検討する必要性と有用性について、国内外の国際関係・文化外交・文化政策の研究者と討論し、ドイツと日本を比較する際の留意点等についてヒントを得た。 実践面では、2020年3月上旬に9日間(移動日含む)シュトゥットガルトとミュンヘンに出張、ドイツの国際文化関係運営の3つの現場を訪問し、幹部職員への聞き取りと資料調査を行った。対外関係協会(ifa)とゲーテ・インスティトゥート(GI)では、外交の枠で行う文化交流事業について、移民・難民受入政策との関連、国内外の権威主義や右翼ポピュリズムへの対応、デジタル化対応、学術研究推進等に関する最新情報を得た。多文化共生推進団体「諸文化のフォーラム(Forum der Kulturen)」では、草の根の移民統合における文化交流の意義とその思想的基盤、多様な主体のネットワーキング等について、実践者の視点での知見を得た。現地調査はドイツで新型コロナウィルス感染が拡大する前に遂行、完了できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度に続き、本年度も理論枠組み構築に関して多くの発表機会を得ることができた。また、国際文化関係運営の多様な分野について、文化外交分野に加えて移民統合分野の調査も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はコロナ禍の影響で国内外の出張が全般的に制限される可能性が高い。感染症の流行や対策整備の展望が不透明で、研究全般の見通しが立ちにくいが、状況を見極めながら理論枠組み構築と実践状況調査の両面において可能な形で作業を進めたい。
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Causes of Carryover |
直接経費について、今年度は前年度からの繰越金が100,000円あり、これを含む助成金の全額を学会報告および調査のための出張費に使用した。3度の出張のうち、研究成果報告のために行った2019年10月(国内)、11月(海外)の経費については、前者では本務校の学部学会出張費でカバーし、後者では主催者(台湾文化政策学会)から旅費の一部が支給された。3月の海外出張は経費全額を科学研究費助成金から支出したが、全体では64,425円分の残額が生じ、次年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(3 results)