2018 Fiscal Year Research-status Report
"Mitteleuropa" and "Europe" in the Nazi-Diplomacy
Project/Area Number |
18K01495
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
北村 厚 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (60380656)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | シュトレーゼマン / ナチ外交 / 中欧 / パン・ヨーロッパ / ファシズム / アンシュルス |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、ナチ期における政策全般に関する基礎資料集であるAkten der Reichskanzlei. Regierung Hitlerを第4巻(6冊分)まで購入し、「中欧」政策への政府からのアプローチについて資料的な確認を行った。 この史料も一部用いる形で、論文「シュトレーゼマン外交の東方政策――ドイツ・ポーランド清算協定を中心に――」を執筆した。この論文はシュトレーゼマン時代におけるポーランド関係からナチへの連続性を問題とするもので、本研究の準備的成果となる。この論文は今年6月刊行予定の論文集『歴史のなかのドイツ外交』(吉田書店)に所収される。 また、本研究に直接関係する形で、論文「1930年代初頭におけるパン・ヨーロッパ構想とファシズム――アンシュルスと中欧をめぐる独伊対立を中心に――」を執筆した。この論文はナチ期におけるアンシュルス構想がオーストリア政府の反発を呼び、オーストリアのイタリア接近をまねき、イタリアが盟主となる形で反ナチの中欧同盟が成立していき、それを「パン・ヨーロッパ」運動の指導者クーデンホーフ・カレルギが、「ファシズムのパン・ヨーロッパ」として称賛したことを指摘した。学術雑誌に投稿したが、残念ながら「修正要求が満たされれば掲載」となり、全面的に構想を見直す必要があると考え、論文を撤回し、リライトすることにした。現在執筆中である。 この論文を執筆するなかで、独墺アンシュルス政策について研究するためには、1933年以降のオーストリア側の史料を収集する必要があると考えた。そこで2019年2月末から3月初めにかけてウィーンを訪問し、オーストリア国立公文書館にて史料収集を行った。現在、この史料を分析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね研究計画に沿って、史料収集と論文執筆を進めている。ただし、執筆した論文が要修正とされたため撤回し、リライトすることになったので、その点については研究の遅れが指摘されうる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はまず、オーストリア外交資料集である、Aussenpolitische Dokumente der Republik Oesterreich 1918-1938の当該研究課題における該当部分を購入し、さらなる史料基盤の整備を図る。昨年から引き継いだ論文を完成させ、2本の論文を執筆・投稿する。それに関連して学会報告を行う。
|
Causes of Carryover |
購入を予定している資料集を予定通りそろえるために若干年度の金額が足りず、次年度繰越金と合わせて購入することを計画したため。また、ウィーンへの資料収集において、航空費がやや安めの時期に渡航したために、割安で済んだため。
|
Research Products
(4 results)