2019 Fiscal Year Research-status Report
"Mitteleuropa" and "Europe" in the Nazi-Diplomacy
Project/Area Number |
18K01495
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
北村 厚 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (60380656)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 中欧 / パン・ヨーロッパ / ナチ・ドイツ / ムッソリーニ / ドルフス / アンシュルス / 関税同盟 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続き史料収集と情報の蓄積に費やした。日本ドイツ学会・ドイツ現代史学会・国際政治学会のそれぞれに参加し、情報の収集に努めた。研究上必須の資料集である、Aussenpolitische Dokumente der Republik Oesterreich 1918-1938の該当箇所を購入し、また前年度の文書館での史料収集実績を踏まえ、1930年代のオーストリア共和国側に関する資料収集は、ほぼ完了した。 2019年6月に慶應義塾大学出版会より刊行された、アンドレアス・ヴィルシングほか著『ナチズムは再来するのか?』の第6章を翻訳した。この部分はヴァイマル期の外交政策の位置づけに関する小論であり、本科研費の研究の進展に大きく寄与した。 2019年8月に吉田書店より『歴史としてのドイツ外交』を共著として刊行した。この第2章「シュトレーゼマン外交の東方政策―ドイツ・ポーランド清算協定を中心に―」を執筆した。本稿は当該科研費の研究における前史ともいうべき位置づけにあり、ナチ期以前の中欧におけるドイツ外交をマイノリティ保護から明らかにした。1929年に締結されたドイツ・ポーランド清算協定は、ナチ・ドイツ期に施行され、ドイツのポーランド関係を規定する条約になった。今後もこの協定を軸にナチ期の外交を調査するための基盤を得ることができた。 また、2020年3月には『ヨーロッパ文化史研究』第21号に拙稿「ドイツ現代史における「中欧」と「ヨーロッパ」」が掲載された。本稿は科研費研究計画の中間的成果ともいうべきものであり、現時点までの展望を示した。ヴァイマル期からナチ期にいたる「中欧」政策の変遷、特に後半はムッソリーニとの関係を中心に、オーストリア・ハンガリーが反ナチ的な中欧政策へと傾いたことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は、オーストリア側の資料については十分に集まったが、ドイツ側の資料については、別業務の多忙化によって海外出張が困難になり、ほとんど進まなかった。また、論文集は刊行されたものの、やはり別業務の出張が重なったことによって、新たな研究報告を行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であることから、積極的に研究成果を発表していく。まず、遅れている成果発表の場を西日本ドイツ現代史学会および来年度のドイツ現代史学会に定め、研究報告を申しこむ。今年度の大原社会問題研究所雑誌に本研究の成果を掲載する。また、『西洋史学論集』および『ゲシヒテ』への投稿も行う。これらのうちいくつかは来年度に持ち越されると思われる。
|
Causes of Carryover |
予定していた海外出張が、多業務の多忙化(東京出張の急増)により困難となったため。今年度はもともと海外出張を予定していないが、前年度に集める予定だったドイツ関係の史料が不足しているため、新型コロナウイルスによる渡航制限が緩和されたのち、ベルリンに出張する。また、未購入の史料集を購入し、研究資材の充実に努める。
|