2021 Fiscal Year Research-status Report
一帯一路構想に対する中国周辺国の戦略的対応に関する比較研究
| Project/Area Number |
18K01496
|
|---|
| Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
|---|
Principal Investigator |
吉松 秀孝 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (90300839)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | 一帯一路 / 地域協力 / ヘッジ戦略 / 選択的順応 / 制度均衡 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度まで進めてきた理論的考察および実証分析の成果を、査読付き学術誌での出版という形で社会に還元することを主要な活動として進めた。本研究は、中国の経済的台頭がもたらす不確実性を前提とし、同国の一帯一路構想（BRI）に対する周辺国の戦略的対応を、経済利得の確保と安全保障の懸念、インド太平洋をカバーする地域間制度による対外的連携という内容をもつヘッジ戦略の視角から考察することを目的としていた。具体的事例として、インド、インドネシア、日本を取り上げ、それぞれの国の戦略的対応について考察を進めた。当初の推論どおり、対中国関係における貿易投資関係の維持・深化という経済的利益の確保と海上安全保障をめぐる対立が各国のBRIへの選択的順応という形で影響を与えていたことが確認された。また、中国以外の地域パートナーと形成している対外的連携の状況が各国のBRIへの関与に少なからぬ影響を与えていた。同時に、それぞれの国が抱える対中安全保障の具体的内容や国内政治における政治的・社会的アクターの選考や活動の違いなどによって、3か国のBRIへの対応に微妙な差異があることが確認できた。インドとインドネシアの対応戦略については英文学術誌2誌に投稿し、査読者からのコメントを得た上での論文の修正を行っている。BRIへの日本の対応については、関連するプロジェクトに参加させてもらい最終成果編著における事例の１つの章として取り込んでもらっている。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による現地でのフィールド調査が実施できなかったため当初計画の一部変更を余儀なくされ、予定していた計画より大幅に遅れることとなった。ただ理論的考察を具体的事例に落とし込むことを精力的に進め、3か国に関する研究事例について国際研究シンポジウム・ワークショップでの報告を行い、論文としてまとめ上げることはできた。このように、過年度の研究の遅れを多少挽回することができた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
主要な国際研究学会に参加する機会を模索し、本研究のもとで執筆された論文の発表を行って研究成果の社会への還元を進めていきたい。
|
| Causes of Carryover |
2021年度に予定していた海外でのフィールド調査が、長期化するコロナ感染問題のために実施できなかった。2022年度は状況の改善が見込まれるので、これまでの研究成果を還元するため国際研究学会に参加する計画であり、この費用として活用したい。
|
Research Products
(2 results)
