2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Theory of Time Preference with Cognitive Optimization
Project/Area Number |
18K01503
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
武岡 則男 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80434695)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 異時点間選択 / 時間選好率 / 金額効果 / 認知的最適化 / 利他性 / 加法分離性 / 自制と意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、異時点間の利得割引率を、現在の自己の将来の自己への利他性として解釈し、将来の自己への共感の割り振りという認知的最適化によって割引率が決定されるモデルを考察した。この仮説の背後にあるのは、将来の大きな利得ほど割引されにくい「金額効果」と呼ばれる観測結果である。将来利得が大きいほど、現在の自己が将来の自己に共感するインセンティブは強まると考えられるからである。本研究は、ボストン大学のJawwad Noor氏との国際共同研究である。初年度の平成30年度中に、論文の基本的な骨格をまとめ、国際学術誌に成果を投稿した。その後、改訂・再投稿の要請があったため、令和元年度はその要求に応えるために研究を進展させた。プロジェクト最終年度である令和2年度は、研究の仕上げとして学術雑誌への採択を目指して引き続き研究を行った。令和2年度の春に改訂後の再投稿を行い、夏に2度目の改訂・再投稿の指示を編集者から受けた。共同研究者とメールやZoomなどを用いて定期的に打ち合わせを行い、論文を改訂した後、令和3年度に入ってから再投稿を完了した。現在はその結果を待っているところである。 令和2年度より本研究課題を基課題として、国際共同研究強化Aに基づいた研究も同時並行で進めている。時間選好率の認知的最適化の考えをさらに発展させるいくつかの課題を設定し、その研究に着手した。 また、プロジェクトの派生研究として、認知的最適化の元でどのような情報が最適に選ばれるのかという情報獲得の研究をパリ第2大学のXiangyu Qu氏、岡山大学の東陽一郎氏、龍谷大学の兵庫一也氏とともに進めた。Qu氏とは、令和元年度にパリ第二大学で客員研究員として招聘を受けて以来、共同研究を行っている。この期間の予備研究の成果をもとにして、令和3年度より、新たな科研費プロジェクトとして継続的に研究を推進していく予定である。
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