2019 Fiscal Year Research-status Report
超高齢化社会の歪みを正す投票制度に関する理論及び実験研究
Project/Area Number |
18K01515
|
Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
上條 良夫 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (40453972)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 実験経済学 / 投票実験 / 利他性 / ドメイン投票 / 代理投票 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化の進行する民主主義国家は等しく有権者の高齢化という問題に直面しており、将来世代の利益は軽視されがちとなる。将来世代の利益を担保できる新たな投票制度として、選挙権年齢未満の子どもを有する親が、子供の代理として投票するという代理投票制度が注目を集めている。本研究では、代理投票制度が本当に将来の利益に資する選択を導くのか、という問いに対して、理論を構築し、実験室実験およびインターネット調査実験を用いて明らかにしていく。 予備的調査、平成30年度の調査を通じて、18歳未満の子供を有する人は18歳未満の子供を有しない人と比べて、寄付金額が高い傾向があることが確認できた。当該結果は繰り返し確認されており、一定の頑健性を有すると考えられる。その一方で、そのような寄付金額が高い人たちであっても、自身の子供の代理としての意思決定においては、寄付金額が低くなるというパラドキシカルな現象も観察している。 平成31年度(令和元年度)は、これまでの調査から繰り返し観察されている、代理票においてなぜ親の寄付金額が減少するのかを明らかにするため、さらなるインターネット調査を実施した。調査の目的は、(1)結果の頑健性の確認、(2)代理意思決定において寄付金額が減少する理由の解明、そして、(3)代理という文脈においても寄付金額を向上させるような仕組みの検討である。そのような仕組みとして、意思決定の理由を子供に見せる、という操作を実施した。 調査の結果、これまでと同様に、代理意思決定において寄付額が減少することが確認できた。それゆえ当該結果の頑健性は高いと考えられる。(2)、(3)については今後データを検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2回のインターネット調査を実施しており、計画通り進行していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスによる感染症の拡大を防ぐ観点から、実験室実験の実施は困難になる可能性が高い。それゆえ、実験室実験の内容をインターネット調査で代替していく。
|
Causes of Carryover |
インターネット調査実施コストが数年前と比べて低くなっており、調査実施コストを抑えることができたことが大きい。次年度の追加調査のサンプルサイズを予定よりも大きくし、これまでの結果の頑健性と高めていく。
|
Research Products
(1 results)