2021 Fiscal Year Annual Research Report
A mechanism design approach for strategic delegation problems in the provision of public goods
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18K01519
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
篠原 隆介 法政大学, 経済学部, 教授 (40402094)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公共財 / フリーライダー問題 / 交渉 / 戦略的委託 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、研究計画の最終年度であるため、研究期間全体の総括し、新規研究課題 (21K01392) への接続を図った。2021年度の研究実績は、次の通りである。 ①既公刊の研究成果[Shinohara, 2021, Journal of Public Economic Theory]の拡張研究を行った。Shinohara(2021)では、同一国内の二地域が自発的な交渉によって公共財を供給する状況を考え、中央政府の公共財供給に対する補助金政策が、各地域の交渉代表者の選定に与える影響を検証した。Shinohara(2021)が対象とする二地域による公共財供給では、各地域が交渉へ参加する誘因を持つことは自明である。一方で、現実には、多くの地域が公共財から便益を享受する場合も多く、この場合、各地域が公共財供給交渉に自発的に参加することは保証されない。2021年度の研究では、公共財の便益享受地域が三つ以上の場合を包含するモデルを構築し、政府の公共財供給における補助金政策が、各地域の交渉への参加誘因および戦略的な交渉代表者選定に与える影響を分析した。現時点において、分析は完全ではないが、今回、構築されたモデルは、新規研究課題が対象とする「国際」公共財供給モデルと共通部分も多いため、今後、分析を継続し、成果をまとめる。 ②コンテスト理論を応用した地域間交渉モデルの構築を模索した。その副産物として得られた研究成果を、論文“Sabotaging Teammates and Rent Dissipation in a Rent-Seeking Contest”としてまとめSSRNにて公開した。現在、専門誌から改訂の要求を受けている。新規研究課題においても、交渉による公共財供給が研究対象になることから、コンテスト理論の応用可能性を継続して探りたい。
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