2020 Fiscal Year Research-status Report
Reputation formation and umbrella branding in multi-product firms: Theory and Experiment
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18K01526
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小林 創 関西大学, 経済学部, 教授 (10347510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七條 達弘 大阪府立大学, 経済学研究科, 教授 (40305660)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多市場接触 / 繰り返しゲーム / ゲーム実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はコロナウイルスの影響もあり、関西大学経済実験センターの実験室が閉鎖している期間が多く、予定通りの実験を行うのが、難しい状況にあった。その中で、現在得ている結果の頑健性を確認するために、関西大学経済実験センターの実験室で3セッション、大阪大学社会経済研究所の被験者プールを使ったオンライン実験を10セッション実施した。 これらの実験は、ランダムに複数の個人と関わり合いをもつ繰り返しゲームを考えた。まず、関西大学での実験室実験では、均衡選択の基準を考えて、それらすべてを満たすステージゲームの利得とそうでない場合との比較を行った。その結果、両者には協調率に有意な差が見られなかった。また、協調率はどのセッションもとても低く、ランダムに関わりあう環境では、少しの逸脱によって容易にグループにおける協調が崩壊することが分かった。 次に、大阪大学でのオンライン実験では、上記の関西大学での実験を踏まえて、被験者に協調行動を促進すると考えられる追加的な情報を提供する環境を考えた。追加的な情報としては、相手の過去5期間の行動を観測できる処置と、それに加えて、その時の対戦相手の行動まで分かる処置の2つを用意した。前者をfirst-order information、後者をsecond-order informationとよぶ。 その結果、先ほどの関西大学での実験とは大きく異なり、どのセッションにおいても高い協調率が達成された。しかしながら、各処置群において被験者が採用した戦略は処置ごとに大きく異なっていた。First-order informationでは、この追加情報を被験者は積極的に活用し協調行動を採用することが分かった。他方、second-order informationでは、追加されたsecond-order informationはあまり利用されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はコロナウイルスの影響もあり、関西大学経済実験センターの実験室が閉鎖している期間が多く、予定通りの実験を行うのが、難しい状況にあった。本来であればメインの実験を計画通り、実験室実験にて実施したいところではあったが、このような状況のため、実験室実験が予定通り実施できないという困難があったため、わずかなセッションでできることと、オンラインでできることを考えて、それらからわかることを生かして次年度につなげるという方法を選択した。また、従前は被験者の応募に集まる人数が少ない場合は、チラシなどを配布することで被験者の募集を行っていたが、コロナウイルスの影響のため、そのような方法をとることができず、被験者を集めるのが難しいということも生じた。 そのような中でも、何とか実験室実験を3セッション、オンライン実験を10セッション実施できたことは収穫であった。特に、オンライン実験でも被験者の集中が切れることなく最後まで真剣に選択していると想像できるような結果を得たので、それもまた大きな収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実験室実験が残りのセッションについて実施できるのであれば実施して、均衡選択の基準が多市場接触をともなう長期的関係において果たす役割を調べていきたい。ただ、実験室実験が難しい場合には、大阪大学でオンラインにて実験を行う計画である。 また、今年度得られたオンライン実験の結果は、first-order informationとsecond-order informationで情報が複雑であった可能性もあるので、記憶の長さを短くして、簡潔な情報の場合に、どのように協調行動が変化するかも調べていきたいと考えている。こうした諸々の可能性を考察していくことで、Takahashi (2010)で示されていた効率性命題における強いインセンティブのもつ重要性が示されると考えている。 最後に、一連の成果を整理していくつかの論文とした後、学会にて報告するとともに、投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナウイルスの影響もあり、関西大学経済実験センターの実験室が閉鎖している期間が多く、予定通りの実験を行うのが、難しい状況にあった。本来であればメインの実験を計画通り、実験室実験にて実施したいところではあったが、このような状況のため、実験室実験が予定通り実施できないという困難があったため次年度使用額が生じた。
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