2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reputation formation and umbrella branding in multi-product firms: Theory and Experiment
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18K01526
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小林 創 関西大学, 経済学部, 教授 (10347510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七條 達弘 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40305660)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多市場接触 / 長期的関係 / 不完全公的観測 / 情報制約 / 繰り返しゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の関係がある不完全公的観測をともなう繰り返し囚人のジレンマの実験で得られたデータを引き続き解析した.特に今年度は,混合戦略を含めた戦略の推定を行った.これは,昨年度実施した純粋戦略をベースにした戦略推定では,モデルの当てはまりがそれほどよくなかったからである.得られた結果は,被験者は,複数の関係を個別的に見るのではなく,複数の関係があることを意識しながら行動を決定していること,その中で,先行研究で主張されているような,逸脱に対する寛容性が見受けられるものの,定量的には先行研究で主張されているほどには多くはないということがわかった.理論的には,複数の関係があることで,より寛容を発揮することを通じて協調行動が促進されるという直観があったのであるが,実験はそれを否定し,複数の関係を通じてより慎重に相手の出方を伺うようになるということを示唆している.これは,一部の航空産業で摘発された価格カルテルにおいて,カルテルが形成された要因として複数の路線で企業が直面するからだと言われていたが,そうしたことが成立するためには,コミュニケーションなどの追加的な要素が不可欠であるとこの実験結果は示唆するといえる.これらの結果をワーキングペーパーとしてまとめている. 次に,ランダムに関係性が決まるケースの実験を実施した.特に,コロナの影響がありつつも,実験を実施した.こちらは,(a)相手の行動履歴がまるで観察できない場合,(b)1期前の行動のみが観察できる場合,(c)全ての行動履歴が観察できる場合,の3つの処置を実施した.被験者募集の都合もあり,まだ完全に実験を終えたわけではないが,(a)とそれ以外とで大きく協調行動の出現割合が異なるという結果を概ね得ている.これは背景にある理論研究の結果を支持する結果である.この一部成果を国際的な査読雑誌に掲載している.
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