2021 Fiscal Year Research-status Report
ケインズのバーク受容に関する研究:バーク解釈史とイギリス保守主義史に焦点を当てて
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18K01536
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中澤 信彦 関西大学, 経済学部, 教授 (40309208)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケインズ / バーク / 保守主義 / 功利主義 / 美学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、研究課題である「ケインズのバーク受容」に関して、「バークの哲学(美学)」に関する研究成果のとりまとめを行いつつ、それを「ケインズの哲学」に関する先行研究と接続させることを目指した。前者の仕事に当初想定していた以上の時間を要したため、後者の仕事をほとんど進められなかったのは残念だが、そのぶん前者については充実した研究成果を生み出すことができた。 本研究課題に関連する2021年度の具体的な研究業績は以下の通りである。(1)「バークの哲学(美学)」を主題とする論文1本(執筆言語:英語)が海外査読誌に掲載された。(2)「バークの哲学(美学)」を主題とする論文1本(執筆言語:日本語)が大学紀要に掲載された。(3)「マルサスのミルトン受容」(本研究課題の遂行を側面補強するスピンオフ的な内容)を主題とする論文1本(執筆言語:英語)が海外査読誌に掲載された。(4)「エンゲルスのマルサス受容」(本研究課題の遂行を側面補強するスピンオフ的な内容)を主題とする論文1本(執筆言語:日本語)が大学紀要に掲載された。(5)国内学会で4本の研究報告を行った。 なお、2021年度は4年間の研究期間の最終年度(4年度目)となる予定であったが、研究の進捗状況が遅れ気味であるために、研究期間の1年延長と予算の一部の次年度への繰り越しを申請し認められた。2022年度は「ケインズのバーク受容」に関する研究論文(執筆言語:英語)を作成し、国際学会での口頭発表を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上の「研究業績の概要」で具体的に記したように、研究成果については論文などの形で着実に生み出すことができているが、その内容は本報告書執筆時点では「ケインズのバーク受容」という研究課題を遂行するために必要な基礎的・予備的研究にとどまっている。第一次草稿のブラッシュアップのために、国際学会での研究報告を(2020年度と同様に)2件予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大のために学会それ自体が開催中止となり、研究報告の断念を余儀なくされた。海外の研究者との研究上の交流がほぼ絶たれてしまったことも、研究遂行上の大きな誤算であった。そのため、「ケインズのバーク受容」という課題それ自体の進捗状況について言えば、当初の予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書執筆時点では新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せず、海外渡航の目処が立っておらず、研究活動を遂行する上での大きな障害となっている。先行きが不透明なため、臨機応変に対応していく以外にないが、遅れについては残る1年間の研究期間に可能な範囲で回復を図ることに全力を注ぎたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症がなかなか収束せず、参加を予定していた国際学会が不開催となり、研究計画に大きな狂いが生じたことが、次年度使用額が生じた最大の理由である。自由な海外渡航が再び可能となり、国際学会が開催されるようであれば、それに参加して口頭発表を行い、そこで得られた良質な知見・フィードバックにもとづいて草稿をブラッシュアップし、海外査読誌に投稿する、というコロナ禍以前の基本的な研究サイクルに戻って研究活動を遂行したい。次年度使用計画としては、国際学会参加のための旅費と英語論文校閲費を優先的な支出項目とし、残額を物品費に充てるようにしたい。
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