2022 Fiscal Year Research-status Report
ケインズのバーク受容に関する研究:バーク解釈史とイギリス保守主義史に焦点を当てて
Project/Area Number |
18K01536
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中澤 信彦 関西大学, 経済学部, 教授 (40309208)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ケインズ / バーク / 保守主義 / 功利主義 / 美学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、研究課題である「ケインズのバーク受容」に関して、哲学(美学)に加えて、帝国(特にアイルランド)観・貧困観・労働者教育観などに関しても、検討を進めた。具体的には、研究課題に関係する2冊の研究書、すなわち、John Pullen (2022) The Macroeconomics of MalthusおよびGregory M. Collins (2020) Commerce and Manners in Edmund Burke’s Political Economyを読み進め、それぞれについての書評2本(使用言語:日本語)を執筆し、国内学会誌への投稿をすませた。また、「マルサスの救貧法論」(本研究課題の遂行を側面補強するスピンオフ的な内容)を主題とする日本語論文1本と英語論文1本を同志社大学久松太郎氏と共同で執筆し、それぞれについて国内学会および国際会議で口頭発表を行った。国際会議で得られた良質なフィードバックのおかげで、後者の英語論文は2022年度のうちに海外査読誌への投稿までも行うことができた。 なお、本研究課題は当初4年間の研究期間(2018-21年度)を予定していたが、コロナ禍や予期せぬ持病悪化などの事情により研究の進捗状況が遅れ気味であったため、研究期間の延長を2年連続(2022・2023年度)で申請し認められた。2023年度は研究課題をさらに掘り進めるとともに、先の英語論文の海外査読誌掲載決定のために最善を尽くしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果については、論文・書評や口頭発表などの形で着実に生み出すことができている。ただ、その内容が「ケインズのバーク受容」という研究課題にとって基礎的・予備的・派生的なものにとどまってしまっていることも事実である。新型コロナウイルス感染症のために長らく絶たれていた海外の研究者との研究上の交流がようやく再開され、2023年3月に立教大学で開催された国際会議で英語論文を口頭発表し、そこで有益なフィードバックを得られたことは、海外査読誌への投稿までにかかる時間を大幅に短縮してくれた。ただ、その論文の内容それ自体は派生的なものであるため、ケインズのバーク受容」という課題それ自体の進捗状況について言えば、当初の予定よりもやや遅れている、ということになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
遅れについては残る1年間の研究期間に可能な範囲で(研究計画の軽微な変更も考慮しつつ)回復を図ることに全力を注ぎたい。
|
Causes of Carryover |
本研究課題は当初4年間の研究期間(2018-21年度)を予定していたが、コロナ禍や予期せぬ持病悪化(肺機能低下)などの事情により研究の進捗状況が遅れ気味であったため、研究期間の延長を2年連続(2022・2023年度)で申請し認められた。最終年度にあたる2023年度に海外渡航(海外での学会参加・資料調査)を実施することは、健康上の理由によりきわめて難しくなっているため、次善の策として、国内学会やオンライン開催される国際学会に積極的に参加することで、デメリットを少しでも補うようにしたい。
|