2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K01537
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Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
山口 秋義 九州国際大学, 現代ビジネス学部, 教授 (80269026)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロシア経済史 / 統計制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
1908年にロシア帝国議会へ提出された統計改革法案の作成過程において、万国統計会議における論議がどのように検討され法案へ反映されたかをロシア国立歴史公文書館史料の解読を通じて明らかにする作業を進めた。その研究成果として次の2つの論文を発表した。 ①(査読なし)「1908年ロシアの中央統計局構想」『九州国際大学国際・経済論集』4,21-52. 2019年8月。この論文では1908年に議会へ提出された法案が下院において採択されたものの1910年上院において否決された経緯を中心に検討した。 ②(査読あり)А.Ямагути. Проект реформы государственной статистики А.М. Золотарева в свете решений международных статистических конгрессов.ロシア連邦国家統計局学術誌『統計の諸問題』Вопросы статистики.т.26 №10,2019Стр.71-79.2019年10月。ロシア国内で発表した論文である。1908年統計改革法案作成過程において内務省中央統計委員会議長ゾロタリョフが果たした役割を中心に検討した。ゾロタリョフが万国統計会議フローレンス大会における論議を踏襲したこと、また1910年の法案否決に至る論議を検討し、地方統計組織に関する統計法案の不備があったことを明らかにした。この論文は20世紀初頭の公文書に依拠して当時の論議を掘り起こしたものであるが、特に政府統計機関の独立性と中立性に関する論議は今日のロシア政府統計機関の在り方に関する論議にも関連するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目までにロシア語論文と邦文論文の2本を発表した。5年間の研究期間においてロシア語論文3本という計画におおむね沿って研究成果の発表が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ロシア国立歴史公文書館における資料閲覧と複写作業を続ける。ただしコロナ感染症の収束が条件となる。すでに入手した資料の解読を進め残りの3年間で2本のロシア語論文を発表する計画である。
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Causes of Carryover |
ロシア国立公文書館において複写した資料を電子媒体で直接手渡しで受け取り送料が発生しなかったこと、また京都大学マイヤー文庫においいて複写した資料が貴重資料扱いが解除されたものであり、自身での複写が許可され昨年よりも大幅に安価となったことが理由である。
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