2018 Fiscal Year Research-status Report
時空間相関した動学パネルデータモデル統計的推計手法開発とその応用
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18K01545
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山形 孝志 大阪大学, 社会経済研究所, 特任教授(常勤) (20813231)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | panel data / factor model / co2 emission / climate change / energy consumption |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題1については、計画書に沿った第一草稿を脱稿した(Norkte, Sarafidis and Yamagata, 2018)。また課題1の派生研究として、大標本におけるクロスセクション相関がある説明変数を含む静学パネルモデルの推定・検定法の開発を行った。具体的には、クロスセクション相関、ランダム係数、時系列相関、不均一分散にロバストな分散・共分散行列の研究成果を第一草稿としてまとめ(Hayakawa, Nagata and Yamagata, 2018)、weak cross-sectional dependenceにロバストなasset-pricing-error 検定の開発研究を継続しておこなっている。(Pesaran and Yamagata, 2017)。
研究課題2では継続して研究を遂行中であり、第二年目以降に第一草稿脱稿を目指している。
課題研究3では予定通り第一年目にデータの収集及び加工にあてた。特に世界35ヶ国の複数個所における日次気温データを集め、エネルギー消費量の影響要因として標準的に使われている国別HDD(Heating Degree Days)およびCDD (Cooling Degree Days)を計算した。そのあと、同HDDとCDDを使用し、四半期エネルギー消費量パネルデータの季節調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおりおおむね研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1: 2018年8月以降Norkte, Sarafidis and Yamagata (2018)の大幅な改訂を主に次の二点について遂行中である。一点目の拡張は、誤差項に含まれるファクターの推定である。第一草稿では非従属変数x_itに含まれるファクターf_(x,t)を抽出し、f_(x,t)推定値にてdefactorされた非従属変数x_itを操作変数とすることにより一致性を持つ推定を提唱した。この方法では誤差項 u_itに含まれるファクターf_(y,t)の影響が残る可能性がある。この問題を解決するため、一致性のある操作変数推定に基づく残差からf_(y,t)を推定し、モデルよりf_(y,t)を漸近的にプロジェクト・アウトしたうえで、f_(x,t)推定値にてdefactorされた非従属変数x_itを再度非従属変数として推定する二段階操作変数推定を提案する。二点目はランダム係数動学モデルの推定への拡張である。例えば国別パネルデータでは各国のモデル係数が均一である保証はなく、不均一係数を伴う動学モデルは一般的に一致性を失うことが知られている(Pesaran and Smith, 1995)。したがって、一致性をもつランダム係数動学モデルの推定法の開発は非常に重要である一方で、困難な課題である。 改訂版の完成後、同アプローチの他モデルへの拡張を考えていく。また、上に指摘した派生研究の第一草稿およびその他関連研究も同時に進めていく。
課題2: 継続して研究を遂行中であり、第二年目以降に第一草稿脱稿を目指している。
課題3: 国別エネルギー価格収集を継続し、同時に本格的なデータ分析を行う。
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