2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K01552
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
溝渕 英之 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (10516793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 推移性 / Dutot指数 / Jevons指数 / 短期生産可能フロンティア / 偏要素生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、推移性を満たす物価指数・数量指数を考案することにある。令和二年度は投入物の一部が固定された、偏要素生産性に関する指数の研究を行った。 全ての投入物が固定されない、全要素生産性を把握する指数(全要素生産性指数)については様々な指数が考案されてきた。一方で偏要素生産性を把握する指数(偏要素生産性指数)については、労働生産性指数や資本生産性指数など、限られたものしか研究されていない。私は、全要素生産性の計測に用いられてきた様々な手法を、偏要素生産性の計測に応用し、新たな偏要素生産性指数を二つ提案した。一つ目の指数は、距離関数により、投入物の変化による短期生産フロンティアの拡大の度合を計測したものであり、二つ目の指数は、利潤関数により、投入物の変化による実質利潤の変化の度合を計測したものであり、いずれも観察可能な生産物と投入物の価格と数量から直接的に計算できるという優れた性質を持つ。また、これらの指数は、企業間・産業間の生産性を集計するという観点からも便利な性質を持つことも明らかにすることができた。 これらの指数は、生産物や投入物の一部の変化を把握する、部分物価指数・部分数量指数を考える上でも、大きな手掛かりを与えてくれるものである。この研究は、部分物価指数・部分数量指数に関しても推移性を満たす指数を考案できる可能性を示唆するものでもあり、これは、令和二年以降の研究をすすめていくうえで極めて示唆に富む研究成果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究を応用して、偏要素生産性に関する指数の研究を進めることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、推移性を満たす物価指数・数量指数を提案するという、当該研究の最終目的を果たしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大のため、当初参加予定であった学会等が中止になり、旅費を消化できなかったため。
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