2020 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー市場とその不確実性を考慮した最適環境政策
Project/Area Number |
18K01565
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10377137)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境政策 / エネルギー政策 / 電力市場 / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、再生可能エネルギーの不確実性のもとで、電力市場の参加者のリスク回避的態度を反映した意思決定モデルを構築した。太陽光発電システムを所有する需要家は、電力の消費者であると同時に、電力の供給者の側面も併せ持つプロシューマーとみなすことができる。日中に太陽光発電による電力を自家消費し、夜間には電力会社から電力を購入して消費する。一方、日中に太陽光発電による電力が余るときは、その余剰分を電力会社に販売することができる。このような二面性を持つプロシューマーは、所有する太陽光発電システムによる電力を自家消費するか電力会社に販売するかの意思決定を行う。その際注意すべき点は、太陽光発電による電力量の多寡は、その時々の天候に左右されるため、不確実性が存在することである。したがって、プロシューマーは、太陽光発電の不確実性のもとで、リスクへの態度も踏まえて、自家消費するか販売するかの意思決定を行うことになる。本年度は、このようなプロシューマー、または多数のプロシューマーを束ねるアグリゲーターに関して、電力価格などの市場の状況を考慮しつつ、不確実な太陽光発電のもとでリスク回避的に意思決定を行うモデルを構築した。モデルのテクニカルな点では、第一に、市場の状況を考慮する面については二段階計画問題として定式化し、第二に、リスク回避的に振る舞う面については分布に関してロバストな確率制約問題として定式化した。この問題はそのままでは解くのが困難であるため、本研究では、双対性なども利用しながら、混合整数二次計画問題に変換する方法を示し、これにより数値的に解くことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、再生可能エネルギーなどの不確実性を念頭に、リスク回避的態度を反映したモデルを検討するのが当初の計画であり、おおむね順調に計画を遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は主に、2020年度に構築したモデルをもとに、発電所とネットワークを想定したケーススタディによりシミュレーション分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
理由:2020年度は、コロナ禍のため、予定していた複数の国際学会が延期などとなった。 計画:2021年度は、コロナ禍の状況も見極めつつ、オンライン参加も含め、複数の国際学会で研究成果を発表し、また海外研究者と研究上の意見交換を行う予定である。また、計画しているシミュレーション分析のための数理計画ソフトウェアの購入も予定している。
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