2022 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー市場とその不確実性を考慮した最適環境政策
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18K01565
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10377137)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境政策 / エネルギー政策 / 電力市場 / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度のモデルとシミュレーション分析をより精緻化し発展させた。太陽光発電システムを所有するプロシューマーは、電力の消費者であると同時に、電力の供給者の側面も併せ持ち、太陽光発電の不確実性のもとで、リスクへの態度も踏まえて、電力を自分で消費し、余剰分・不足分を電力会社と売買する意思決定を行う。プロシューマーの意思決定は、分布に関してロバストな確率制約問題(distributionally robust chance-constrained problem)として定式化している。前年度からの拡張として、リスク回避度合を外生的に与えるのではなく、プロシューマーが回避度を内生的に決定するモデルを構築した。そして、不確実性下でより柔軟な意思決定を行うプロシューマーを組み込んだシミュレーション分析の発展を行った。シミュレーションでは、プロシューマー以外にも多数の需要家と発電所が接続されるネットワークを想定し、24個の地点と38本の送電線で構成されるIEEE Reliability Test System (RTS 24-Bus)を用いた。シミュレーション分析の結果、プロシューマーはリアルタイムの電力の決済価格に反応し、その水準に応じてリスク回避度合を柔軟に調整することで、自らの余剰を増大できることが示された。このようなプロシューマーの意思決定は、完全競争の市場だけでなく、不完全競争の市場においても同様に確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、前年度のモデルとシミュレーション分析をより精緻化し発展させるのが当初の計画であり、おおむね順調に計画を遂行できた。ただし、依然として感染症流行による影響があり、2022年度の研究成果に関して、国際学会での発表や海外研究者との意見交換は想定していたよりも進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は主に、2022年度の研究成果を国際学会等で発表し、海外研究者と意見交換を行いつつ、研究を完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
理由:2022年度の研究成果に関して、依然として感染症流行による影響があり、国際学会での発表を想定していたよりも進められなかった。 計画:2023年度は、研究完成に向けて国際学会等で発表し、海外研究者と研究上の意見交換を行う予定である。また、研究完成に向けて、必要な数理計画ソフトウェア等の購入も予定している。
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