2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on firms' disclosure behavior and its economic consequences in the presence of proprietary costs
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18K01568
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 建二 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (20345474)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経営情報 / ディスクロージャー / プロプライエタリ・コスト / 機密コスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、プロプライエタリ・コストが存在する状況における企業の情報開示戦略と、その情報開示がもたらす経済的な帰結を分析し、明らかにすることが大きな目的である。今日では、情報流をともなうサプライチェーンの効率的な管理が学術・実務の双方から重要な話題となっているため、水平的市場構造だけでなく、垂直的市場構造を考慮した企業の情報開示戦略を分析することが本研究課題の特色となる。研究課題の5年目である2022年度は、交付申請書に基づき、数理モデルを構築する研究を継続した。まず、一般的なメーカーが電子商取引プラットフォームを通して財を販売するとき、通常の卸売契約を結ぶか、あるいはエージェンシー契約を結ぶかの選択ができる場合がある。そのようなメーカーが垂直的市場構造において価格情報を伝える場合、どの取引形態をプラットフォームと結ぶことが望ましいのかを分析した。次に、メーカーが一般的な流通業者だけでなく電子商取引プラットフォームを通して財を販売する時、その財の価格情報をアナウンスする望ましいタイミングを分析した。プラットフォームを通して販売する場合の価格情報を一般の流通業者が利用する状況が想定されるため、この問題の分析は重要となる。以上のように、垂直的市場構造での情報流に関する複数の数理モデルを構築する研究を行った。これらの研究成果は複数の論文としてまとめ、国際学術誌への投稿を行った。また、既に前年度までに国際学術誌に受理されていた複数の論文が出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は「研究実績の概要」に記したとおり、プロプライエタリ・コストの存在下で競争環境に直面する企業は、どのような意思決定を行うことが望ましいのかを明らかにする数理モデルを構築する研究を継続した。この研究の成果を複数の論文としてまとめ、国際学術誌に投稿した。また、既に前年度までに国際学術誌に受理されていた複数の論文が出版された。以上の客観的な研究成果から、「(2) おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、本年度までに国際学術誌への複数の論文掲載をはじめとして、研究計画に沿った研究の進展が見られている。プロプライエタリ・コストの存在下での競争環境に直面する企業の望ましい意思決定についてさらなる知見を得るために、数理モデルを構築する研究を継続する。本年度までと同様に、研究から得られる成果は主に英文論文としてまとめ、国際学術誌への投稿・掲載を行い、内外へ向けた研究成果の発信を進める。
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Causes of Carryover |
本年度まで数理モデルを構築する研究を継続し、その成果を複数の論文としてまとめたが、次年度が最終年度となるためそれらを内外に発信する活動のための費用が特に必要となることが予想される。このために次年度の使用額を計上している。具体的には、国際学術誌へ投稿する際に必要となる英文校正などの費用として使用することを計画している。また、学会や研究会が遠隔地において開催される場合には、研究成果をそれらの会合において研究報告するための旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)