• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Research-status Report

Macroeconomic Analysis of a Sharing Economy: Theory and Policy Implications

Research Project

Project/Area Number 18K01569
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

中村 保  神戸大学, 経済学研究科, 教授 (00237413)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywordsシェアリングエコノミー / 耐久消費財 / レンタル市場 / 一般均衡モデル / 経済政策
Outline of Annual Research Achievements

Nalbach (2018)やFilippas et al(2020)などの研究を参考にして、初年度と2年目にシェアリング (レンタル)の可能性が存在する下での家計の消費行動を定式化し、それを一般均衡の枠組みに組み込んで分析することを3年目に開始した。その過程で、部分均衡ではうまく定式化された各経済主体の行動をそのまま一般均衡に拡張してもモデルがうまく機能しない可能性が見つかり、ミクロの主体均衡の分析を再検討することが必要になった。シェアリングの大きさは耐久消費財が生み出すサービスの価格に依存する。部分均衡では耐久消費財の価格とレンタル価格の両方が与えられている。そして、耐久消費財の需給は耐久消費財の価格によって、耐久消費財のレンタル量(利用率)はレンタル価格によってそれぞれ決定される。これに対して、一般均衡モデルにおけるレンタル市場では、耐久消費財の量と利用率によって決定されるサービスそのものが取引されるので、耐久消費財の価格とレンタル価格を別々に決定するメカニズムを組み込まなければならない。
そこで3年目に入ってから、先行研究とは異なるアプローチを用いて家計の消費行動を再定式化し、それらを一般均衡の枠組みに導入して分析することとした。その際に、2年目に構築を試みた生産財と消費財の2部門からなる2部門モデルの考え方を援用して、耐久財の量(大きさ)と質(利用率)という2つの要素が存在する一般均衡モデルを考えて検討を開始した。その結果、シェアリングが存在しない経済、シェアリング経済、そして家計間のシェリングではなくて企業によるレンタルだけが存在する経済の3つの経済の比較検討が可能になり、経済政策がそれぞれの経済で持つマクロ経済学的効果の違いを分析できる可能性が出てきた。この点についてできるだけ明確な結論を得て、近く論文に纏め発表したいと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

初年度に耐久消費財のレンタルの可能性が存在する下での家計の行動を定式化し、それらを取り入れた一般均衡モデルを構築し、2年目にそれらを分析し、3年目に動学的一般均衡モデルへと進む予定であった。しかし、一般均衡モデルの分析を行う過程で家計行動の再定式化を行う必要性に迫られ、家計の行動の分析を再度検討することになった。
一般均衡理論を用いた分析については、2年目から2部門モデルの方がより適切であると考え、モデル構築の考え方と方向性を大幅に変更して分析を始めた。しかし、レンタル市場では耐久消費財の需給(量)と利用率(質)を区別して分析することの方がより重要であることが分かり、耐久消費財の価格とレンタル価格を別々に決定することが可能な一般均衡の枠組を考えることにした。そこで3年目に入ってから、先行研究とは異なるアプローチで各経済主体の最適化行動を再定式化し、それらを一般均衡の枠組みに導入して分析することを始めた。その結果、シェアリングが存在しない経済、シェアリング経済、そして家計間のシェリングではなくて企業によるレンタルだけ存在する経済の3つの比較検討が可能になり、より明確な結論を得ようと現在分析を進めている。
新型コロナウィルスの感染拡大への対応によって研究が遅れてしまったことなどもあり、研究内容を学会や研究会で報告し、他の研究者と議論する機会があまり持てなかった。これらの状況を総合的に勘案し、計画3年目の達成度として「遅れている」と判断するとともに、研究を継続するために補助事業期間の延長の申請を行った。

Strategy for Future Research Activity

補助事業期間の延長が認められて研究計画の最終年度となった令和3年度は、前年度までに構築したシェアリング市場あるいはレンタル市場の存在を組み込んだ一般均衡モデルを用いて、シェアリングが存在しない経済、シェアリング経済、そして家計間のシェリングではなくて企業によるレンタルだけ存在する経済の3つの経済の特徴や相違をまずはより明確にしていく。その上で、(1)経済政策の効果がこれら3つの経済でどのように異なるのか、(2)シェアリングやレンタルの存在が経済全体の所得(GDP)や経済厚生をどのように変化させるのか、 (3) 経済厚生の観点から最も望ましい経済は、これら3つの経済の中のどれか、そしてそれが現実に実現するのか、を可能な限り明らかにしていきたい。
また、いくつかの興味深い結論が得られつつあるが、まだ理論の段階に留まっている。研究協力者の助けも借りながら、現実のデータとの比較を行い、それらの現実妥当性について検討していく予定である。
さらには、これまで構築した一般均衡モデルから導出された結論や現在構築・精緻化を進めているモデルについて、それらが暫定的なものであっても、学内外の研究会やセミナーなどから始めて、国内外の学会でも発表し、出来るだけ多くの研究者の方々からコメントやアドバイスをもらいながら研究を改善していく予定である。残念ながら、昨年度は報告を予定していた研究集会や学会のいくつかがキャンセルされたが、研究報告の機会をこれからも積極的に見つけていきたい。上述のような分析や研究交流などを通じて得られた結果を論文に纏め、それらを活用して論文を改訂し、今年度の早い段階で国内あるいは国外の査読学術誌への投稿を開始し、できれば採択にこぎ着けたい。

Causes of Carryover

「物品費」についてはほぼ予定通りに支出することができたが、「旅費」に関しては、令和2年度予定分を令和元年度に支出できなかった分と一緒に有効に使う予定であったが、コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて全く支出することができなかった。補助事業の期間延長が認められたので、コロナウィルスの感染状況を考慮しながら、令和3年度中に計画的に支出する予定である。
「その他」に関しては、論文の作成が遅れているために、令和元年度および令和2年度に支出予定であった英文校閲料及び投稿料を令和3年度に支出することになる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Stone-Geary type preferences and the long-run labor supply2021

    • Author(s)
      Tamotsu Nakamura
    • Journal Title

      Evolutionary and Institutional Economics Review

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1007/s40844-021-00204-6

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi