2022 Fiscal Year Annual Research Report
Macroeconomic Analysis of a Sharing Economy: Theory and Policy Implications
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18K01569
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 保 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (00237413)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シェアリング / 動学的一般均衡 / 耐久消費財 / ラムゼイモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
耐久消費財が生み出すサービスの家計間でのシェア(共有)が可能になることで、経済の基本的な振る舞いが変化すのかというが本研究の大きな問題意識であり、それをマクロ経済モデルを用いて検討することが研究の目的である。 そこでまず、耐久消費財のシェアリングがどのような条件の下で発生・進展するのかについて分析するために、シェアリングエコノミーの簡単なマクロ経済モデルの構築を試みた。家計が耐久消費財から得る効用は、その量とそれを使用する時間によって生み出されるというアイデアを応用し、消費(非耐久消費財への支出)と所有(耐久消費財への支出)に関する家計の最適化行動について分析し、それを基礎として静学的なマクロ経済モデルを構築し分析を行った。その結果、所得格差がシェアリングの拡大に大きな役割を果たすことを明らかにした。 シェアリングされる耐久消費財の需要は、家計の異時点間の最適化によって決定される。そこで、シェアリングエコノミーの動学的特性を明らかにするために、異時点間の最適化行動を行う家計から構成される経済モデルを構築し、その動学的一般均衡を導出し分析を行った。その際に、家計は消費財を耐久消費財と非耐久消費財に変換することができ、耐久消費財の利用が家計間でシェアできると仮定した。この簡単化によって、シェアリングが存在する経済の動学的一般均衡を、シェアリングがない経済と同じように分析することができるマクロ経済の動学モデルを構築することが可能となり、シェアリングが家計の消費・貯蓄行動や経済成長に与える影響を分析できた。 その結果、動学的一般均衡経路は、標準的なラムゼイモデルと完全に一致はしないが、基本的に同じ性質をもつこと、定常均衡における資本ストックの水準はラムゼイモデルのそれと全く同じものになること、資本蓄積とともにシェアリングが拡大すること、などを明らかにすることができた。
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Research Products
(1 results)