Theoretic analyses of international environmental agreements with farsighted stability

2022 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K01573
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 藤田 敏之 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30297618)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 国際環境協定 / 提携形成ゲーム / 先見的安定性 / 動学ゲーム / 協力の進化

Outline of Annual Research Achievements

本課題の目的は，世界の国々が国際環境協定を締結する際に先見的である，言い換えれば自分の行動が他国の行動にもたらす影響を長期的に考慮するという仮定のもとで，ただ乗りなどのインセンティブが生じない安定な協定の集合である「先見的安定集合」の性質を明らかにすることである．
今年度は，一昨年度に開始した，時間的要素を入れた国際協定の動学ゲームモデルの分析というテーマの検討を継続した．プレイヤーである各国が各期の汚染排出量を決定するという枠組みで，状態変数である汚染の蓄積量と，協定のサイズ（加盟国数の割合）の挙動の計算を行っている．また協定に関するルールとして，一定数以上の国が加盟しないと協定が有効にならない「最小加盟国数ルール」や，あえて最適な排出量を課さない「目標緩和ルール」を検討している．
基本的な結果は得られているが，現在のところ先行研究の成果との差別化ができるような新しい顕著な成果が得られたとはいえず，ルールの見直しをしつつ，試行錯誤を繰り返している状況である．
今年度も昨年度，一昨年度に引き続き，コロナ禍によって研究活動が滞ったほか，別の科研費研究課題に関する研究の進捗が思いのほか順調で，そちらに投入する時間や労力が多くなったなどの事情があり，成果を公表できる形にまとめることができていない．予算もこれまでに数回繰り越した未使用分を再度すべて来年度に繰り越すこととなったが，来年度が本当の意味での課題最終年ととらえ，研究をまとめて公表すべく，作業を継続している．

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

コロナ禍およびほかの研究課題に投入するエフォートが多く，計画通りの進捗を実現できていない．

Strategy for Future Research Activity

繰り越した予算を活用し，成果を公表する形にする．コロナ禍も一段落しつつあり，来年度は研究遂行に必要な交流などができる見込みである．

Causes of Carryover

予定されていた海外出張が中止となった．また成果が公表できる形にまとまらなかった．来年度は残額を論文の英文校正，投稿費用に使用する予定である．