2020 Fiscal Year Research-status Report
Regional Income Inequality in Asian Developing Countries under Globalization: A Study based on Household Income and Expenditure Surveys
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18K01589
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
秋田 隆裕 国際大学, 国際大学研究所, 名誉教授(移行) (50175791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 光彦 立教大学, 経営学部, 特任教授 (20321713)
山田 恭平 国際大学, 国際関係学研究科, 准教授(移行) (60710605)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域間格差 / 都市農村格差 / 貧困 / アジア開発途上国 / 家計調査データ |
Outline of Annual Research Achievements |
1、家計調査データを用いてインドネシア、フィリピン、ミャンマーにおける教育と消費支出格差に関する比較研究を都市と農村間の構造的な違いを考慮して行った。インドネシアとフィリピンに関しては教育格差が都市農村消費支出格差の大きな要因になっており、したがって都市農村間教育格差を縮小させることは全体の消費支出格差縮小のために有効である。この2か国では都市部の高等教育を受けた家計間の消費支出格差が大きく、大学など高等教育機関の質的な格差是正も総消費支出格差を是正するために必要である。一方、ミャンマーについてはインドネシア、フィリピンと異なり都市農村間および教育水準間の消費支出格差が非常に小さく、したがって初等・中等教育を受けた家計グループ内の格差縮小は総消費支出格差是正のための重要な政策課題である。2、2004年と2014年の全国社会経済調査による消費支出データを用いて、インドネシアにおける経済成長と貧困削減に関する分析をpro-poor growth index や growth incidence curveを使って地域ごとに行った。2004-2014年の期間における比較的高い経済成長は大幅な消費支出格差増を伴ったが、インドネシア全体で見ると貧困率は27%から10%まで減少しており、貧困削減にかなりの効果があったといえる。しかし、州ごとに見ると、経済成長の貧困削減効果にはかなりの差がある。したがって、地域間でバランスの取れた経済成長と貧困削減を達成させるためには、経済成長や所得格差変化に影響を及ぼす様々な地域的な要因を考慮したきめの細かい貧困削減政策が必要である。また、2004年時点の格差と経済水準が貧困削減の成長弾力性にどのような影響を及ぼしているかを分析した。この実証分析によると、消費支出格差が低くまた経済水準が高い州ほど貧困削減の成長弾力性が高くなることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界銀行、アジア開発銀行などのホームページや検索システムを用いて、所得格差や貧困に関する最新の資料と文献の収集を行った。研究成果の公表については以下のとおりである。1、2005年から2013年までの州別産業別の所得データを用いたインドネシアにおけるサービス産業化と地域間所得格差分析の成果は、国際学術誌Social Indicators Researchの2020年5月号に掲載された。2、2001年から2012年までの地区別・収入項目別財政収入データを用いたインドネシアの財政収入格差分析の成果は、online first publicationとして2020年8月に国際学術誌Regional Science Policy and Practiceに掲載された。3、家計調査データを用いたインドネシア、フィリピン、ミャンマーのASEAN3か国における教育と消費支出格差に関する研究の成果ついては、国際大学研究所のワーキングペーパーとして公表した。この論文については、2021年6月にSpringer社から出版される予定の本の一章として掲載される予定である。4、2004年と2014年の全国社会経済調査による家計消費支出データを用いたインドネシアにおける経済成長と貧困削減に関する地域分析の成果も国際大学研究所のワーキングペーパーとして公表した。5、一方、2004年と2014年の全国社会経済調査による家計消費支出データを用いたインドネシアの農村地域と都市地域における経済成長と貧困削減に関する研究の成果はEconomic Research Institute for ASEAN and East Asiaのディスカッションペーパーとして公表した。新型コロナウィルスの感染拡大により国際会議での研究成果の発表ができなかったが、本研究は計画に沿って行われておりおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も国際機関などのホームページや検索システムにより所得格差や貧困に関する資料と文献の収集を行う。新型コロナウイルスのアジアでの感染状況次第であるが、インドネシアなどを訪問し地域格差是正に関する政策についてのヒアリングと最新の家計調査データの収集を行う。具体的な研究としては以下を予定している。1、2007年、2012年、2017年の家計調査データを用いて、ブータンにおける地域経済成長と貧困削減に関する研究をpro-poor growth indexなどを使って行う。また、同じデータを用いて、貧困の要因分析をIV probit modelにより行う。2、2015年から2018年までの毎年の全国社会経済調査データを用いてインドネシアにおける教育と消費支出格差の分析を都市と農村の構造的な違いを考慮して行う。この研究では、ジニ係数を用いて農村都市間の教育格差分析を行った後、研究代表者が開発したタイル尺度の二段階分解手法を用いた消費支出格差の要因分析を行う。3、2010年と2016年の家計調査データを用いて、バングラデッシュにおける地域経済成長と貧困削減に関する研究をpro-poor growth indexなどを使って行う。4、2010年から2020年までの州別産業別の所得データを用いて、インドネシアにおける産業構造変化と州間所得格差の分析を行う。この研究では、経済成長のエンジンである製造業に特に焦点を当て、製造業内の構造変化が州間所得格差にどのような影響を及ぼしているかを地域所得格差の二次元分解手法を用いて分析する。また、新型コロナウイルの感染拡大が州間所得格差にどのような影響を及ぼしているかも分析する。以上の研究成果はまずワーキングペーパーとして公表した後、国際学術誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルスの感染拡大の影響で予定していた海外での国際会議が中止かオンライン会議になったためその部分の海外出張費がかからなくなった。 (使用計画)新型コロナウイルスのアジアでの感染状況次第であるが、インドネシアの国家開発計画庁、統計局やフィリピンの統計局などを訪問し、所得格差是正、貧困削減に関する政策についてのヒアリングと最新の家計調査データや地域所得データの収集などを行う予定である。また、パーソナルコンピュータの周辺機器やレーザープリンターのカートリッジなどを購入する予定である。
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Research Products
(5 results)