2021 Fiscal Year Annual Research Report
The impacts of Trade Liberalization Policy through the Domestic Supply Chain in Japan
Project/Area Number |
18K01590
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
横田 一彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40390819)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サプライチェーン / 貿易政策 / 雇用 / 賃金 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はサプライチェーン構造の変化をアジア,北米,ヨーロッパの3地域を対象に,付加価値貿易を明示的に取り入れた指数を使った実証研究を進め、OECDの ICIOをもとに計算された付加価値貿易指数が国際間の賃金格差,経済規模,物理的距離,共通言語や,宗主国関係の有無,自由貿易協定の有無といった要因にどの程度影響を受けているかを推計した。Johnson and Noguera (2017)のVAX指数を応用したHelpman(2018)の指数を計算し、サプライチェーンの影響が国内経済に与える影響を計測している。結果は①アジアとヨーロッパの最も顕著な違いはアジアでは賃金が安い国ほど中間財も付加価値も輸出している②アジアでは中間財と付加価値貿易の賃金水準と賃金格差の弾力性の値の差がヨーロッパのそれに比べて大きい→アジアでは絶対的な賃金水準と賃金格差が中間財貿易に与える影響に比べ,付加価値貿易を増大させる効果が小さいといった顕著な特徴がみられた。これらのことから付加価値貿易で見るとアジアではヨーロッパに比べより垂直的な産業構造があると考えられる。これらの結果をもとに論文をまとめ、2022年8月にEast Asian Economic Association(EAEA)国際大会(マレーシア・クアラルンプール)で発表する予定である。 サプライチェーンの進展を計測する方法には一致した見解は存在しないが、一つの有力な計測方法としてサービス貿易の変化を考えることができる。中間財の移動にはその輸入財に体化されたサービス、例えば物流コストやパテントのロイヤルティやR&Dの付加価値が含まれる。これらのサービス貿易が雇用やその賃金に与える影響を考慮することによってサプライチェーンの構造を把握できる。そこでこのサービス貿易のデータを使用して、日本、中国、アメリカのサービス貿易の競争力を計測した。
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