2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01593
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
北村 紘 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (30582415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80334879)
田村 彌 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (60711950)
佐藤 美里 京都産業大学, 経済学部, 学振特別研究員 (70794585)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 排他条件付取引 / 垂直的取引制限 / 競争政策 / 耐久財 / 経済実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
メーカーと小売店などの垂直的取引において,競合他社との取引を禁ずる契約を排他条件付取引契約という.こうした契約は,ライバル企業を排除する反競争的な効果を持つ.これまでの研究により,特定の状況において,排他契約によるライバルの排除が発生することが明らかになっている.現実の競争政策への対応を考えると,更なる状況の整理が求められる.本研究では,排他条件付取引関連の個別の事件の特性を考慮し,理論分析及び実験分析を行う. 2018年度は,理論研究において,複数の研究成果が出た.第1の研究として,耐久財市場における排他条件付取引を分析した.この研究では,将来的な参入が現在の耐久財価格を下落させ,契約パーティの結合利潤を減らすという異時点間の外部効果に注目した.この外部効果により,効率的企業の参入阻止が実現することが明らかになった.現実の排他条件付取引の事件が,耐久財市場において観察されており,耐久財市場では反競争的な排他条件付取引が行われやすいという政策的含意が得られた.また,第2の研究として,飲料市場において頻繁に観察されている排他条件付取引をめぐる競争を分析しているKitamura, Matsushima, and Sato (2018)の拡張分析を行った. この分析により,川上企業と川下企業の卸売価格交渉の方法,排他条件付取引契約を提示する経済主体によらず,排除均衡が実現可能であることが明らかになり,結果の頑健性を確認できた. また,実験研究では,Kitamura, Matsushima, and Sato (2018)の川上企業が契約を提示する基本モデルの設定で経済実験を行った.理論的予測では,排除均衡と非排除均衡が存在するが,短期的な関係を想定した実験では,川上企業役が排除されることを嫌い,高い契約金額を提示するため,高い排除率が観察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究の進捗状況は,概ね順調であったと考える.理論研究では,複数の研究に取り組み,成果を論文として公表する準備を進めている.次年度には,国内外の学会および研究会で報告し,ワーキングペーパーとしてまとめ,英文査読誌に投稿する予定である.また,実験研究においても,2018年度中に準備が進んでおり,次年度以降に,研究成果を公表できる状況にあると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に得られた研究成果を論文としてまとめ,国内外の学会および研究会にて報告をしていく.得られた研究成果について,国内外の研究者と意見交換をすることで,研究の完成度を高めたいと考えている.また,最終年度に予定している海外学会での報告の申込期限が次年度内に来るため,経済実験の実施が後回しにならないように実施計画を立てる予定である.
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Causes of Carryover |
分担者の松島氏の所属する組織にて,実験を行う予定であったが,次年度に行う方がより良い実験を実施できると判断し,次年度に繰り越すことにした.
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Research Products
(6 results)