A theoretical analysis of trade liberalization policy under endogenous labor supply and costs of time consuming consumption

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K01595
• Research Institution: Ritsumeikan University
• Principal Investigator: 大川 昌幸 立命館大学, 経済学部, 教授 (50291761)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 可変的労働供給 / 貿易の自由化 / 消費の時間費用

Outline of Annual Research Achievements

本研究課題では、従来注目されることの少なかった消費を含む経済活動の時間的要素に焦点を当てながら、関税の引き下げや労働移動の自由化を含む貿易政策の自由化が与える影響についての理論的分析を行うことを目的としている。また、少子高齢化の進展に伴う国内の労働供給量の減少を含む可変的労働供給を明示的にモデルに導入して分析している。
申請者は,貿易の自由化と外国人労働者の受け入れの自由化をセットにした貿易政策の効果について、医療従事者の受け入れの効果について分析し、小田正雄氏との共著、"A model for liberalizing nursing and trade," （Japan and World Economy, 1918)を発表した。この分析は特に医療分野の研究者からも関心を引いている。しかし、医療サービスは、その消費自体（定期的な受信、検査、入院治療など）に時間がかかるとともに、その消費は消費者の効用を高めるのみでなく、労働供給量あるいは生産性を増加させる特徴を持つ。Hayakawa （２０１７）は、消費者の健康状態がその労働生産性を高めることにより所得を引き上げる効果を導入して、消費者の最適行動の特徴を理論的に精緻に分析している。
申請者は現在このHayakawaのモデルを医療サービスの生産サイドと消費財の貿易を導入した一般均衡分析に拡張した分析を行っている。分析が難解なこともあるが徐々に結果が得られつつあり、一定の結果が得られれば学会等で発表するなどしながらより質の高い論文にして専門雑誌に発表したい。さらに、２国間モデルに拡張し、特に上記の特徴を持つ医療従事者の国際間の移動の効果について分析を行う計画である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題期間中の研究内容の進捗状況としては、上記の論文や現在進行中の分析の内容からおおむね順調に進展しているといえると思う。上記のように、医療サービスの消費の時間的費用やそのサービスの消費が消費者の内生的労働供給量や労働生産性に与える効果を導入して、貿易の自由化政策とセットにした医療サービス従事者の国際的な受け入れの効果については成果を発表する段階には至っていない。一定の成果をあげつつあるので進めてゆきたい。
他方、外国企業の国内への直接投資を受け入れる際に、その形態を国内企業とのJoint Ventureの形成に限定して、かつ外国企業へのJoint venture内での出資規制を行う政策が行われている下での外国企業の内生的な技術移転政策、パートナー選択行動、共同で分析を行い、現在投稿中である。

Strategy for Future Research Activity

現在の医療サービスの消費の時間コスト及び労働供給量・生産性に与える効果を明示的に導入し、医療従事者の受け入れの効果と貿易政策の自由化の理論的分析を進めてゆく。一定の結果が得られた段階で学会、研究会とで発表し、コメントを反映して質を高めて、海外の査読付き専門雑誌に投稿する手順で進める計画である。

Causes of Carryover

コロナウイルスの感染拡大による影響によって、出席を予定していた国内の学会、ワークショップ及び国外のコンファレンス等がすべて中止あるいはZoomによるものとなり、出張費用が執行できなかった。