2018 Fiscal Year Research-status Report
Inequality of health and living standards in Russia: a microeconometric approach
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18K01612
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武田 友加 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (70376573)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活水準 / 貧困 / 生活保護 / ワークフェア / 勤労世帯 / 子ども / 高齢層 / ロシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ロシアの格差を多面的に分析することから,計画経済から市場経済への移行の中で急激に高まった格差に対し,是正のための解決策を探ることである。ロシアの生活保護制度の基盤はロシア国家社会扶助法であり,格差是正がその目的の一つとされている。平成30(2018)年度は,まず,ロシア国家社会扶助法で2012年に規定された社会契約(социальный контракт)と呼ばれるワークフェアが,貧困家計の貧困脱出にどのように影響しているのかについて,因果推論を試みた。貧困削減のために雇用保障と所得保障のいずれが有効かという議論は,途上国,先進国の貧困を問わず貧困研究において重要なトピックである。しかし,ロシアではワークフェアが社会保護制度に組み込まれたのが比較的最近であるためか,ワークフェアの貧困削減効果に関する実証研究は,ロシアの貧困研究ではほとんど見られず,まだそれほど発展していない研究課題と思われる。本分析は更なる精緻化が必要ではあるが,今後ロシアでも注目されるであろう重要な問題を先取りしたものであり,このような意味において,意義のある分析と考えることができる。これらの研究を行ったほか,ロシアの格差の別の側面である健康格差についても,ロシアにおける研究状況の調査のために現地に出張し,資料取集のほか現地研究者と意見交換を行った。なお,以上の研究成果の一部は,国際学会にて報告したほか,研究論文として研究図書に所収された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一部を,学会で報告したほか,研究論文として発表した。以上の点から,本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,2018年度に実施した実証研究を精緻化し,学術誌に投稿することを目指す。また,2019年度も,現地感覚と実証分析の結果にずれがないかどうかを調べるために,ロシアへの出張も実施する。
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