2019 Fiscal Year Research-status Report
複数市場に財を供給する公企業の部分民営化政策についての研究
Project/Area Number |
18K01613
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川崎 晃央 大分大学, 経済学部, 准教授 (10452723)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複数市場競争 / 部分民営化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,公企業が複数市場に財・サービスを供給,私企業が単一市場に財・サービスを供給する状況下での公企業の部分民営化に関する研究を完成させ,Review of Urban and Regional Development Studies に公刊させた.本研究によると,公企業の財・サービスの複数市場への生産に,費用面からの代替性がある場合,2地域間の住民数の分布次第では,公企業を民営化しないことが望ましいことが明らかになった.また,公企業の経営効率性の悪さが必ずしも民営化の望ましさにつながらないことも明らかにした. 次に,公企業が複数の財・サービスを供給している場合,一方の財・サービスの供給を民営化するべきか否かについて研究を進めた.その研究が完成し,Asia-Pacific Journal of Accounting and Economicsに公刊するに至った.本研究によると,私企業の競争に直面している部門の民営化について,2つの財・サービスの代替性が高まってくると,競争が激しくなることによって民営化すべき範囲が大きくなるが,代替性が大きすぎると逆に,競争に直面している部門の財・サービスの生産が減少することから民営化すべき範囲が狭くなることを明らかにした. 最後に,公企業の生産のタイミング問題に着手し,公企業が先手で生産活動を行う条件を明らかにした. 次に,本年度に着手した研究は,ユニバーサルサービスと部分民営化に関する研究で,ユニバーサルサービスにより均一価格規制が課されると,公企業の民営化は望ましくないことを明らかにしている.本研究は現在,査読付き雑誌に投稿し,修正要求が来ているため,細部の修正中となっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度までに作成した,本科研に関連する論文3本がすべて国際の査読付き雑誌に公刊され,また本年度着手した新たな研究についても,トップクラスの国際ジャーナルより修正要求がきており,公刊できる可能性がある.当初,本年度着手した研究は次年度の投稿・公刊を予定していたが,学会報告を通して大きな問題もなかったため,投稿に至った. 従って,当初予定していた次年度の研究テーマに,既に着手することが出来ているため,当初の計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,修正要求が来ている研究論文の公刊を最優先に進める.次に複数市場とタイミングゲームを考慮した部分民営化に関わる論文の完成を目指すことになる.また,複数市場に財・サービスを供給する企業の特性として「ネットワーク」をあげることが出来るので,ネットワーク産業の民営化問題に着手する.具体的には「アクセスチャージ」の存在が民営化政策にどのような影響を及ぼすかについて明らかにしていく予定である.
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Causes of Carryover |
今年度公刊された論文について,それぞれあと1回,英文校正を要すると予定していたが,その必要がなくなったことが,予算が余った理由の1つになっている.また,秋季の日本経済学会,日本応用経済学会,国際地域学会への参加が出来なかったことが予算の余った要因である. 次年度は,コロナウイルスなどの都合で出張が困難になることが予想されるが,一方で論文作成が順調に進んでいる為,英文校正などの支出が増えることが予想される.従って,英文校正と国際雑誌への投稿に対する支出を中心に行っていきたい.さらに,ユニバーサルサービスやネットワーク産業に関わる資料の購入を今年度は予定している.
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Research Products
(5 results)