2019 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study on Regional Economic Effects of High-Speed Transportation Network
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18K01614
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大塚 章弘 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (90392745)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ネットワーク / 集積の経済 / 市場アクセス / 地域経済 / 地域間格差 / 生産性 / エネルギー効率 / 国土計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本の地域経済において,高速交通ネットワークが果たす役割とその経済効果を明らかにすることである。高速交通ネットワークが各地域の生産性やエネルギー効率にあたえる影響について定量的に評価する。 2019年度は,2018年度に整備したデータベースを踏まえ,旅客移動に関する地域間ネットワーク指標を開発した。具体的には,地域間の旅客移動で利用する交通モードのデータを活用することで,交通モード別の移動時間とその分担率を把握し,都道府県間の最適旅客移動に関する指標を開発した。計測された地域間ネットワーク指標を観察すると,その強度は東京が最大であることが確認された。これは,高速交通ネットワークが東京を中心に形成されている実態を表している。さらに,地域間ネットワークの強度の経年変化を都道府県間で比較すると,例えば,長野新幹線や九州新幹線の開業時期に符合する形で沿線地域の地域間ネットワークの強度が上昇していることが確認できた。こうした地域間ネットワーク指標を活用すると,高速交通ネットワークの開発によって実現する首都東京との時間距離短縮の経済的影響の分析が可能になる。この指標を経済データとつき合わせて観察したところ,首都東京との時間距離短縮が大きかった地域ほど,当該地域の生産活動が活発化していることが確認され,東京への経済活動の依存構造が鮮明になった。この指標の開発および計測は,本研究遂行のための第二段階として不可欠のものであり,最終年度はこの指標の評価を進め,各種実証分析を実施し,地域マクロ的な視点から,地域間の高速交通ネットワーク整備の意義と効果を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域間ネットワーク指標の開発はおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した地域間ネットワーク指標を利用し,高速交通ネットワークの開発が日本の地域経済に及ぼす影響について,計量経済モデルの手法を通じて定量的に明らかにする。これまでに得られた一連の研究成果を体系的にまとめ,国際学術雑誌に投稿・発表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,2019年度末に報告を予定していた国内会議がキャンセルとなった。2020年度についても報告を予定している国際学会の現地開催の中止がアナウンスされており,代替としてWeb会議の実施が検討される可能性がある。そのため,使用を予定していた旅費をWeb会議に関連する機材の購入や,研究成果のオープンアクセス費用に充当することを計画している。
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