2020 Fiscal Year Research-status Report
Economic Integration of Asia Pacific Region and the Role of Japan
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18K01618
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
才木 あや子 日本大学, 経済学部, 准教授 (40288022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦田 秀次郎 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 名誉教授 (10185085) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 為替レート / 地域統合 / 中国 / ASEAN |
Outline of Annual Research Achievements |
The Anatomy of the Internationalization of the Renminbi という論文を作成し、アジア諸国の通貨の動きに中国元とのリンクが見られるかどうかを検証した。具体的には、Frankel and Wei (1993)の論文を参考に、対SDRに対する各国(200カ国)の為替レートのDailyの動きを見て、どのMajorCurrencyにリンクが強いかという事象を見ている。また、SDRがドル、ユーロ、人民元、円などから構成されていることを鑑み、それぞれの通貨の対Major CurrenciesのVolatilityを検証することでどの通貨にリンクしているかをダブルチェックした。アジア圏においては、ドルへのリンクはFrankel and Wei (1993)の当時の研究よりも強まっており、中国元へのリンクはASEAN諸国では観察できない(ドル化しているカンボジアを除く)。逆に、地理的に離れたブラジル、南アフリカ、チリといった資源豊富な途上国の通貨の人民元へのリンクが顕著である。さらに、何が人民元へのリンクを高めているかを回帰分析を使って行った所、中国へCommodityを輸出している国と中国への債務がある国のドルリンクが強いことがわかった。Gravity ModelやRose(2000)とは対照的に、GDPや、物理的距離、言語、国境を接しているかどうかなどといったファクターは影響していないこともわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貿易や為替レートに限って言えば、アジア諸国は、中国以外で独自に統合が進んでいるようである。特に、中国と国境紛争や政治的なテンションを抱えた国などにおいて、他の条件を一定としても中国へのInter-Industryの貿易依存度は低い。ただし、サプライチェーンの影響で、Inter-Industryの依存度は高い。さらには、香港の最近の情勢を鑑みて、タイバーツがASEANにおいて重要な役割を果たすようになってきており、貿易の決済や地域的国際通貨としての地位を高めているのが分かる。逆に日本の影響は少なくなってきている。ビジネスサイクルは、ASEANでは高まってきており、これはサプライチェーンによるものだと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今あるProject続行を計画し、さらに細かい産業分類で貿易の垂直統合を検証する予定である。さらには、Business Cycleのみではなく、Financial CycleのCorrelationも検証したい。そして、コロナ前におけるPortfolio Flowが10年ほどでどのように変化したか(データは入手済)、またそれらの決定要因を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外学会発表などがかなわなかったので、海外での発表が出来なかったため、次年度仕様額に回したが、コロナ禍が収束し次第、海外へのフィールドワークや発表を行っていきたいと思う。
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