2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01623
|
Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
小巻 泰之 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (80339225)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 武士 北海学園大学, 経済学部, 教授 (80345404)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 共同売店 / 小地域データ整備 / EBPM / 県民経済計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は離島地域(隠岐・島後地域,西表島,石垣島)及びイギリス・Wales地域の小規模小売店への実地調査を行い,共同売店の維持可能性の観点として管理費,特に人件費の在り方について検討した. 隠岐では,「ふれあい五箇」でデイケア施設の人員を利用した(これは「併せ技」と呼ばれている)配食サービスを実施している.特に,ボランティアの助けもあって継続可能となっている.今回の調査を通じて「ボランティア」がふつうにできる地域であったことが大きな発見と思われる. 沖縄・八重山地区は離島の間の移動はフェリーしかなく運賃コストがかさむなど売店維持は難しい.その内で,西表島・大富売店は5年前から黒字に転換し店を維持している.この背景には資金管理,在庫管理のみえる化及びネット化が大きいとのことである.石垣島は全ての売店が内地出身者(日本本土からの移住者かつ女性)が担当している.これまでの売店訪問で内地出身者が担当していた場所はなく,どうして石垣島のみで可能なのか.来年度以降の継続課題としたい. イギリスについては,Lawrenny Community Shopでは店運営のための人員確保の問題,購入者のニーズを考えて,各住民にお店に入れる入店ICカードにより,24時間いつでも購入できる形態を取り入れている.また,売店の運営では,全てがボランティアで賄われている店の割合も高い.これはWalesの地域性もあると考えられるが,地域住民の団結が他の地域より強い. 今年度実地調査した売店は,ボランティアの活用の外,先端自術の導入による人件費削減等,日本で学ぶべき点が多い.この成果は,「過疎高齢化地域における小規模小売店―維持可能性に関する定量的試算」として沖縄国際大学南島文化研究所叢書(令和2年度中に発刊予定)にまとめた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトでは補助期間に6つの研究課題を掲げている.その内,住民出資型売店の活動状況の比較検討については,「過疎高齢化地域における小規模小売店―維持可能性に関する定量的試算」として沖縄国際大学南島文化研究所叢書(令和2年度中に発刊予定)にまとめた.その中では,特に,住民出資型売店の経営状況を財務諸表的に数値化するためのデータ整備を行い,他の小売業との比較可能な形にした. 他方で,海外との比較もある,イギリスの共同売店での取り組みの日本での適用可能性について日本版の試算を行った.その内容は,上述の共同売店にかかる統計データによる実証的な分析を含むものである.研究成果の報告として学会報告を行う予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最初の2年間は,地域の小規模売店について比較可能な財務諸表データの作成を中心に行った. 残り2年間についても,さらにデータを集め一般化できるように努める.他方で,2020年度は本研究の課題である「所得変数及び消費動向に関するデータ整備」を続ける.特に,条件的に不利な離島地域で共同売店として維持されている状況及び住民の消費動向について調査ができないかと考えている. さらに,イギリスの共同売店について昨年度に引き続き実地調査を行う.2020年度も経済環境,地理的・歴史的環境の違いが共同売店の経営に影響を与えているのかを検討する予定である.その中で,損益分岐点売上高をもとに,住民による商品購入必要額を推計したい. ただし,2020年初から新型感染症問題で前半期には実地調査は困難である.しかし,後半期以降,今回の問題で何か新たな問題が顕在化していないかについても調査したい. これらの成果の一部は学会(地方部会も含む)にて成果報告を行いたい.
|
Causes of Carryover |
次年度に向けて92520円が未使用となった.これは現地調査の出張旅費としてはかなり少額であるため,次年度に合わせての利用の方がより的確に研究費が使用できると考え,次年度使用としたい.2020年度は感染症問題のため,前半期には現地での実地調査は難しい.後半期以降,完成証問題の動向を踏まえ,現地調査を再開する.予定では,日本では離島地域,イギリスでは交通網が比較的未整備なCornwall地域を中心に実地調査をする予定である. また,地方におけるEBPMの状況調査については徳島県庁,島根県庁,北海道庁(研究分担者との調査)も考えている.
|
Research Products
(2 results)