2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01623
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
小巻 泰之 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (80339225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 武士 北海学園大学, 経済学部, 教授 (80345404)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小地域データ整備 / オンライン調査 / 新型コロナ感染症に対する対応策のデータ整備 / 県民経済計算 / EBPM |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナ感染症の拡大から地域への実地調査は全くできなかった.しかし,新型コロナ感染症への地域ベースの対応策に関するEBPMの可否について,本研究で示してきた研究課題と同様の課題を有していることが確認できた.2020年度は以下の3点について研究をおこなった. ①小規模商業施設へのオンライン調査の実施の検討:現地での実地調査が困難であることから,オンラインを通じた調査を検討してきた.一部,オンライン可能な商業施設との連絡を通じて,感染症が小康状態になった後の研究の進め方のすり合わせを行った. ②「所得変数及び消費動向に関するデータ整備」に関する地域状況の検討:この点については,所得データのコアとなるべき「県民経済計算」の現状と課題についてとりまとめた.特に,島根県及び徳島県の統計担当者との議論を通じて,現実的な課題をまとめることができた.県民経済計算の課題については,総務省の令和元年度地方統計機構支援事業(県民経済計算四半期速報)の報告会で,県民経済計算の課題について講演する機会を得た. ③地域データの整理状況の検討:新型コロナ感染症の拡大とそれに対する各地域の政策対応に関するデータ整備での課題が明確になった.各自治体の感染症対策に関するHistoricalな情報は,地域よってはファイルの上書きにより,当初の策定状況に関する資料が入手困難な場合もある.さらに,入手できたとしても,公表内容や表章形式,さらにファイル形式はばらばらである.こうしたデータを2020年以降,収集した.これを今年度には公表できるように整理を進めている. 他方で,新型コロナ感染症の拡大を抑制する対策が地域にどのような影響を与えているのかを,地域ごとの対応策に関するデータ及び人流データの整備をおこなった.また,今後の地域でのEBPMの評価を視野に入れて,ワーキングペーパーとして取りまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナ感染症の拡大により,現地調査がほとんど実施できず,オンライン調査の可能性を検討した. しかし,相手方のネット環境の整備は十分でなく,障害が多い.このため,実地調査を前提としない形で研究を遂行した.本研究プロジェクトでは補助期間に6つの研究課題を掲げている.その内,小巻(2020)「過疎高齢化地域における小規模小売店(共同売店;維持可能性に関する定量的試算」では,住民出資型売店の経営状況を財務諸表的に数値化するためのデータ整備を行い,他の小売業との比較可能な形にした.また,イギリスの共同売店の経営環境について検討した. 所得変数の検討については,既存のコアデータである県民経済計算の整備状況と所得変数としての利用可能性(四半期推計)の状況を検討した. 住民出資型売店については,地域の客観的データの海外との比較もある,イギリスの共同売店での取り組みの日本での適用可能性について日本版の試算を行った.その内容は,共同売店にかかる研究成果にも反映させた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2021年度が最終年次となる.ただし,2020年度が感染症拡大による遅れた部分があるため,感染症の動向に関わらず進められる研究課題,感染症が小康状態になった段階で進める研究課題に分けて実施する. ①「所得変数及び消費変数に関するデータ整備」:「所得変数及び消費動向に関するデータ整備」として,2020年度は県民経済計算の課題を検討した.2021年度は所得変数に影響を与える地域の感染症対策に関するデータを整備し,その影響について検討する. ②イギリスにおける共同売店のデータ整備:これまでの現地調査で収集したデータに,感染症の拡大により,経営状況がどのような影響を受けたのかをオンライン調査を行う.また,イギリスでの感染症の状況は収束に向かう方向にある.したがって,年後半以降には現地での実地調査ができると考えている.2021年度も経済環境,地理的・歴史的環境の違いが共同売店の経営に影響を与えているのかを検討する予定である. ③新型コロナ感染症に対する地域の対応策に関するデータ整備:各地域の対応策について,pdfファイル形式で情報を収集している.これを,途切れることなく,逐次収集し,整理の上,データベースとして公開できるようにする.また,現地への実地調査を行い,データ集約の課題について現地の実情をヒアリング調査する.
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Causes of Carryover |
2020年度の予算額はほぼ全額に近い71万円が未使用となった.これは新型コロナ感染症拡大が継続したことにより,現地調査がほとんど実施できなかったことが原因である.特に,2020年度の当初には,いずれ感染症拡大が収束すれば即座に調査を再開しようと考え,調査自体を延期してきた.このことも最終的に未使用金額が増加することにつながった. 2021年度についても,4月から3度目の緊急事態宣言が発出されて,その解除までは現地での実地調査は難しい.とはいえ,感染症が拡大している中でも,地域の経済はその維持に向けて努力されている.今年度は,緊急事態宣言など感染症の拡大が続く時期と,その小康状態を見極めて現地調査を再開する.感染症の拡大が続く中では,オンラインを利用した面談を行い,小康状態には実地調査を機動的に再開する.
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Research Products
(3 results)