2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K01631
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
中山 惠子 中京大学, 経済学部, 教授 (90207944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 正敏 中京大学, 経済学部, 教授 (30121396)
松本 昭夫 中央大学, 経済学部, 教授 (50149473)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ノンポイント汚染 / 森林涵養 / 森林環境税 / クールノー型不完全競争 / ベルトランド型不完全競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
松本は昨年度に引き続き、独占・寡占状態における環境政策の研究を行った。環境政策の目的は、排出される汚染物質の削減にある。松本は、不完全競争市場に焦点をあて、環境課金による目的の実現を図った。ノンポイントを明示的に取り扱ったこの研究に関しては、松本と中山の共同論文として何本か公表するとともに、国内学会でも成果を報告した。また、松本は、この研究に援用できる寡占市場における環境政策を、単独で論文としても発表し、海外の学会でも報告している。白井は中山とともに、主に森林に焦点をあてた環境政策の研究を行った。白井の専門が財政であることから、環境税を課したモデルを構築し、ノンポイント汚染の基盤となるフレームワークを作成した。白井、中山の成果は、中山の編集した本に掲載されている。また、中山は、海外の大学で、森林環境税に関する研究についても報告を行った。 本研究は4年計画であるため、2019年度は既存研究の整理や、2020年度以降の方向性がある程度定まった状態と考えている。今後は、ノンポイントに特化し、研究を進めていく予定である。また、白井、中山は、水源や森林涵養に関する研究を従来から行っているため、それらを基盤として、森林に着眼した環境税の研究に特化してきたが、国税として森林環境税や森林環境譲与税が導入されることも決定したため、実態にあわせた研究の発展も考えねばならない。特に、森林環境税の類は、わが国が他国に秀でているため、それはむろん、国土の7割が森林ということもあるが、他国の現状も踏まえたうえで研究を発展させねばならないという研究者間で共通の認識も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、コロナウィルスの蔓延により、当初、予定していた海外での学会参加や国内での学会参加が中止となった。また、共同研究者との直接の打ち合わせも不可能となった。そうした意味では、予定通りとはいかなかったが、論文や書籍を公刊できたこと、および少なくとも2019年中の学会報告は予定通りおこなったことから、おおむね順調といえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、非特定汚染源、すなわちノンポイント汚染源の実態を把握することにまず努めたい。ノンポイント汚染では、状況把握の制度向上や対策ごとの効果の適切な把握が問題とされ、汚染不可削減効果の定量的把握も極めて難しいとされている。当初、森林ばかりに着眼してきた。しかし、わが国では、湖沼に関するノンポイント汚染が問題となっており、自治体レベルでの調査や研究もおこなわれている。そのため、範囲を湖沼に広げ、環境課金政策の可能性を探っていくことを当面の課題としている。この点に関しては、中山がまず既存研究や実際の検討課題を調査、整理し、松本と検討する。さらに、森林環境税の国税としての導入により、県税、もしくは自治体レベルでの税が既に導入されている地域にとっては、二重課税の問題が生じるため、その点の解釈を白井が財政的に論議する予定である。 また、従来の環境課金政策の有効性を、不完全競争市場のどこまで拡張できるかも検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2019年度末に海外出張で使用を予定していた金額が、コロナウィルス蔓延により中止となったため。
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Research Products
(11 results)