2021 Fiscal Year Research-status Report
グローバル環境下における拡大生産者責任の制度設計に関する研究
Project/Area Number |
18K01634
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
紀國 洋 立命館大学, 経済学部, 教授 (90312339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 康信 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (30437280)
大堀 秀一 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70378959)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 拡大生産者責任制度 / 環境配慮設計 / 廃棄物政策 / 耐久財市場 / 開放経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、耐久財生産者に課される拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility、以下EPR)を、製品が国外で廃棄される場合にまで拡張・適用した際に生じる効果を理論的に分析し、グローバルな視野からのEPRの制度設計に関する提言を導くことを目的としている。 2021年度は、開放経済を想定したEPRの制度設計に関する理論分析を行った。理論分析に当たっては、「耐久消費財市場が不完全競争であること」、「財の生産者は耐久性選択に関する戦略的な行動をとる可能性があること」、「中古製品が外国に輸出され、外国で廃棄物になる可能性があること」、「自国の廃棄物政策は外国に及ばないこと」を考慮に入れる必要がある。 2021年度の実績として、2本の論文を公刊した。一つは「Optimal deposit-refund systems」のタイトルの論文であり、製品の耐久性を考慮した場合の最適なディポジット・リファンド・システムを検討した。ディポジット・リファンド・システムの設計に当たっては、家計のリサイクル活動を促進し、かつ耐久財生産者に製品の耐久性を改善するインセンティブを向上させるような仕組みが求められることから、その両立のための条件を分析した。もう一つは「Advance Disposal Fee vs. Disposal Fee: A Monopolistic Producer's Durability Choice Model」のタイトルの論文であり、廃棄物処理料金の徴収の手法の違いが、廃棄物の総量にどのように影響するかを分析した。 さらに、耐久財が国内で廃棄物になる場合と、耐久財が国外に輸出され、海外で廃棄物になる場合では、望ましいEPRのあり方が異なる可能性があるという問題意識から、前述の論文の拡張を検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の補助事業期間中に、拡大生産者責任制度の理論的研究については、4本の論文を執筆し、うち2本は査読付き国際学術雑誌に公刊するなど一定の進展が見られた。一方、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、海外における廃棄物政策の実態調査が困難になっている。調査先の候補国の中国では、新型コロナウイルス感染症が拡大傾向にある。ロシアについては、外務省から危険情報レベル4(退避勧告)が発出されている(2022年3月7日現在)。このように、外的要因により海外での調査活動に支障が生じたことが、進捗の遅れにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、海外における廃棄物政策の実態調査が延期になっている。2022年度は渡航が可能になった国の廃棄物政策の実態調査を実施する予定である。また、国内の廃棄物政策の調査にも注力する。こうした実態調査を踏まえ、現実の政策を反映させた理論モデルの構築につなげていく。さらに、国内外の学会において研究成果を報告するとともに、海外の査読付き学術雑誌への投稿を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、国内および外国における廃棄物政策の実態調査が延期になったため、次年度使用額が生じた。 2022年度は渡航が可能になった国の廃棄物政策の実態調査を実施する計画である。また、国内の廃棄物政策の調査にも注力する。さらに、国内外の学会発表の数を増やす計画である。
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