2019 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study on regulations and their impacts on the poverty reduction and profitability of microfinance institutions: The case of Cambodia
Project/Area Number |
18K01641
|
Research Institution | Japan International Cooperation Agency (Research Institute) |
Principal Investigator |
相場 大樹 独立行政法人国際協力機構(研究所), 研究所, 研究員 (30813191)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 英信 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特任教授 (00233461)
小田島 健 独立行政法人国際協力機構(研究所), 研究所, 上席研究員 (00817679) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | マイクロファイナンス機関 / 金融包摂 / 金利規制 / 開発金融 / アウトリーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2019年6月に一橋大学で行われた比較経済学会で、2018年度に収集したマイクロファイナンス機関の財務データ、地域別貸出データを使用した分析結果をまとめた論文の報告を行った。この論文では、カンボジアのマイクロファイナンス機関を対象に2017年4月に施行された金利上限規制がマイクロファイナンス機関の行動にどのような影響を与えたかについて分析を行ったもであり、マイクロファイナンス機関を通じて金融包摂を進めるという観点から現地金融監督機関の政策への提言を狙った研究である。 2019年11月には、同論文をカンボジア現地のマイクロファイナンス協会が主催するカンファレンスにて現地政策当局や現地の金融機関に対して研究成果の報告を行った。当カンファレンスでは、現地の金融機関関係者から多くのコメントが寄せられ、分析手法の改善につながった。また、参加していた現地金融機関から新たなデータの提供の協力も取り付けることにつながった。 2019年12月は先述のカンファレンスに参加していた現地中央銀行の関係者からの依頼で、現地中央銀行副総裁に対して同論文の報告を行った。政策的に重要なテーマとのことで、今後中央銀行からのデータの提供・分析などの協力の申し出をもらうことにつながった。 今後の分析では、いままでの分析結果を踏まえたうえで、新たなデータを利用し、分析手法を改善したうえで、家計への影響の分析など論文のテーマを広げて研究を進めていく方針である。 また、2020年3月に、ワーキングペーパーとして、カンボジアのマイクロファイナンス機関の経営特性を分析した論文(JICA-RI Working Paper Series, No.212)とカンボジアの商業銀行の経営効率性を分析した論文を執筆した(JICA-RI Working Paper Series, No.208)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、2019年8月―9月にJICA研究所の「カンボジアにおける金融包摂プロジェクト」と連携し、1000家計を対象にしたデータ収集を行い、収集されたデータのデータクリーニング及び分析を行った。また、カンボジア信用情報局の協力のもと、2016年から2019年までの銀行貸出の個票データを利用した分析を行った。分析結果をもとに論文の改訂を進めている。 しかし、コロナウィルスによる政府の外出自粛の呼びかけから、カンボジア現地での貸出個票データの分析ができない状況であるため、全体的に遅れがでている。 また、2018年度に引き続き2019年度もカンボジアマイクロファイナンス協会からデータ提供の協力を継続してもらったため、当該データのクリーニング作業・分析作業を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度にサーベイを通じて収集した1000家計のデータ分析作業、信用情報局の貸出個票データの分析作業を継続して行う予定である。2020年度は分析結果をもとに論文を改訂し、「金利規制の家計への影響」と「金利規制のマイクロファイナンス機関の行動への影響」の2つの論文にまとめて論文投稿を行う予定である。 また、2019年度に収集したデータを使用して、マイクロファイナンス機関の市場競争と金融包摂の関係についても研究のスコープを広げ分析を行い、論文執筆を行うことを予定している。
|
Causes of Carryover |
予定していたデータ分析のタイミングをずらしたため、データ購入や物品購入に係る支出を次年度に見送ったため。また、予定している調査に変更が生じて委託予定額が増加する可能性も踏まえて、様子をみるため予定していた支出を見送ったため。
|