2019 Fiscal Year Research-status Report
生活保護世帯データを用いた課税と給付の就労効果に関する研究
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18K01644
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 正義 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (70318666)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生活保護 / 被保護者調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請時の研究計画書に記したとおり,本研究(3年間)の具体的な作業は以下の通りであった.①「被保護者調査」からの調査票情報の利用申請・入手,及び,データベース作成;②課税や給付が就労行動に与える影響に関する経済学的研究のサーベイおよび検討;③課税の効果に関する推定方法の設計,実際の推定作業,及び,研究成果のとりまとめ;④給付の効果に関する推定方法の設計,実際の推定作業,及び,研究成果のとりまとめ ,である. この当初の計画では,2年目に当たる昨年度(令和元年度)では③にかかる作業を行う予定であった.ただし,昨年度の実績報告で述べたように,初年度に行うはずであった①「被保護者調査」等の調査票情報の利用申請・入手作業の開始が昨年度までにずれ込んだ上に,実際に最終的なデータを入手するまで,手続き開始から半年以上の時間を費やすこととなった.しかし,初年度に完成することが叶わなかった当該調査票情報を元にしたデータベースの作成は当該年度内に完成し,加えて,いくつかの推定を行うことで,粗々ながらも③についての初稿を完成することができた.この論文は昨年度末に予定されていたドイツでのカンファレンスにおいて報告予定であったが,COVID-19によって開催がキャンセルされた. なお,計画では集群分析を用いて③の分析を行うとしていたが,試行錯誤の結果,原データの考察,実際の制度の精査,および学会における議論の深化によって,同分析方法は適切でないと判断し,代わりに制度変更を利用した差の差の分析と操作変数法を用いた分析を適用することになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べた通り,昨年度計画していた作業は,③課税の効果に関する推定方法の設計,実際の推定作業,及び,研究成果のとりまとめであった.ただし,これも上で述べたように,データベースの作成に時間がかかったため,計画より若干の遅れが生じ,初稿の完成をみたものの,今年度も更なる精査=追加の作業が必要となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で述べた通り,本来の計画では今年度は,④給付の効果に関する推定方法の設計,実際の推定作業,及び,研究成果のとりまとめ ,を行う予定であった.しかし,上記の通り,最終年度にあたる今年度では,計画になかった昨年度の③の作業のフォローアップが必要となっている,昨年の経験を踏まえれば,本年度中に,③と④の双方の課題に対処できると考えているが,いずれにせよエフォートの比率を上げることで,年度中の完了を目指したい. なお③にかかる課題については,この論文の改訂版を今年度の日本経済学会秋季大会において報告する予定である.
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Causes of Carryover |
昨年度は3月末にドイツで開かれる国際会議で研究成果の報告を行う予定であったが,COVID-19の流行によりカンファレンスが中止となった.したがって,昨年度計画していた旅費は国内学会のみに支出になったため,旅費の支出が計画よりもかなり少なくなった.
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