2020 Fiscal Year Research-status Report
Political Economy of Capital Taxation and Intergenerational Redistribution
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18K01650
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 哲生 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (50305661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 雄貴 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (30805495)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 政治経済学 / 公債シーリング / 財政ルール / 資本課税 / 世代重複モデル / 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は, 2019年度に開発したモデルの拡張と分析の精緻化を行なった. この拡張分析の概要を説明するにあたってまず, 2019年度に開発したモデルについて説明する. 2019年度の研究では, 世代を通じた人的資本蓄積に貢献する公教育支出と, その財源としての労働・資本所得税および公債発行に注目し,これら政府支出と税, 公債発行水準が投票による政治的過程を通じて決定される状況を想定した. 公債発行という選択は, 公教育支出負担を現在から将来世代に先送りする働きがあるため, 政府に過剰な公債発行を選ぶ誘因を与える. この過剰発行問題を解決する手段の一つとして, 公債発行に上限を設ける制度的な制約の効果を分析したのが, 2019年度の研究内容である. 2020年度は, このモデルに代替的な政府支出としての公共財供給を導入し, 結果がどのように修正されるかを確認した. 分析の結果, 公共財に対する選好が, 公共財と公教育の支出配分を通じて, 税および公債発行水準の選択に影響することが明らかになった. これが一つ目の拡張分析である. 二つ目の拡張分析として, 公債シーリングを評価する手段として, 仮想的な長期の計画者を想定した. この計画者の下で決定される社会的最適な資源配分を政策目標として, この目標配分に近づけるための公債シーリングのコントロールについて検討した. 分析の結果, 高齢化が進展している経済においては, 公債シーリングを下げる(すなわち, 財政規律を強化する)ことによって, 社会的な最適配分に近づけることが可能であることを明らかにした. この結果は, 高齢化が進展する日本および先進各国において, 公債シーリングを用いた財政規律の強化が厚生上の観点から支持されることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究を拡張・発展させる形で行なった2020年度の研究成果が, European Journal of Political Economy誌に採択・掲載され, 研究成果の公開が実現したことから, 研究は順調に進展してきたと判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に行なった研究について, 2019年度, 2020年度と引き続き分析の発展と精緻化に取り組んできた. いくつかの点について分析のやり直し, および結果の解釈の再検討を行う必要がでてきたため, これらの点について2021年度内に完了するように取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
研究課題に関する論文を学術雑誌に投稿したところ,査読者のコメントを受けて改訂作業に取り組む必要が生じ,これが2020年度内には完了しなかったため,2021年度に継続して行うこととした.改訂原稿について,編集者より専門業者による英文校正のチェックを要求されたため,それにかかる費用として,2021年度に使用する金額を留保した.また,これに関連して派生する研究にも取り組んでいるため,それにかかる物品費,旅費およびその他の執行のための予定使用額分も留保している.
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