2019 Fiscal Year Research-status Report
The market analysis of higher education and the optimal education policy in Japan
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18K01651
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
古松 紀子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60293685)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高等教育市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の大きな特徴は、供給者(大学)の生産構造分析を行う際に、データの利用可能性の点から強い制約を強いられる費用関数を用いた従来の計測方法ではなく、費用と生産の双対性によって導かれる新たな計測方法を採用すること、さらに、需要者(個人)の大学選択行動の分析において、従来の公共経済学的な分析モデルに依存するだけではなく、そのなかに心理学分野の学問的成果を有機的に取り込み、新しい高等教育モデルを構築することにある。本年度は、特に後者の特徴に関わる部分に重点的に取り組み、具体的には従来から研究を進めてきた公共経済学の視点による高等教育の市場分析に、心理学分野の意思決定過程に関する学問的成果を取り入れるための研究を行った。心理学の分野では、判断による選好順序と意思決定による選好順序は必ずしも同じではなく、それらは逆転する場合があるとされている(選好逆転現象(preference reversal phenomenon))。本研究では、この可能性を需要者の大学選択の意思決定問題に適応、具体的には、心理学分野の顕著性仮説(prominence hypothesis)を前提とした状況即応的重みづけモデル(contingent weighting model)を取り込んで、個人の大学選択行動の定式化をはかることを予定しているため、本年度は、この分野の研究成果に関する知見を順次深めていくとともに、心理学の研究者や統計学の研究者とも議論を重ねながら、従来の公共経済学分野への適応可能性を含めて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の研究が継続課題によってかなり遅れたため、全体としては遅れがまだ取り戻せていない。
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Strategy for Future Research Activity |
心理学分野の研究成果の取り込みを行い、経済モデルによる高等教育分析の発展をはかる。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた出張がすべてキャンセルになったこともあり、次年度使用額が予定以上に生じた。今後は状況をみながら出張を含めた使用計画を立てていく。
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