2020 Fiscal Year Research-status Report
The market analysis of higher education and the optimal education policy in Japan
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18K01651
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
古松 紀子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60293685)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高等教育市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学の生産構造分析を行う際に、データの利用可能性の点から強い制約を強いられる従来型の費用関数を用いた計測方法ではなく、費用と生産の双対性によって導かれる新たな計測方法を採用すること、さらに、大学教育需要者の選択行動の分析において、従来の公共経済学的な分析モデルに依存するだけではなく、そのなかに心理学分野の学問的成果を有機的に取り込み、新しい高等教育モデルを構築することにある。本年度は、特に前者の部分の検討を行った。具体的な方法としては、私立大学のデータをもとに新たな計測方法のインプット距離関数を用いて規模の経済性と範囲の経済性の検証を行い、従来型の費用関数を分析に用いることの問題点を明確化した。主なデータは全国私立大学白書から得た。アウトプットに関しては、学部教育と大学院教育はそれぞれの在籍学生数で測り、研究は獲得した外部研究資金の件数を代理変数とした。インプットについては教員および職員はそれぞれの人数で測り、資本ストックは期末有形固定資本残高を用いた。私立大学白書には130大学の調査結果が掲載されているが、欠損値や異常値を含むもの及び学部学生がいない大学を除いた。インプット距離関数にはインプットとアウトプットの他に、大学の属性をコントロールするため、学部編成に関して数種類のダミー変数を定数項に適用した。それによって技術効率性を推定すると、無視できない大きさの技術非効率の存在が認められ、費用最小化に基づく非効率項を持たない費用関数を用いた従来の分析方法が大学機関の分析には必ずしも適切ではないことが確認できた。そのうえで規模の経済性を検証し、同様の手順で範囲の経済性についても検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の研究が新型コロナ感染症による活動制限等々の影響のために予定通り進めることができず遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
需要者行動について心理学分野の研究成果の取り込みを行い、今までの成果とあわせて経済モデルとして展開させる。
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Causes of Carryover |
今年度に予定していた出張や事務補佐員雇用による作業がすべてキャンセルになったこともあり、次年度使用額が発生した。今後は状況に応じて使用計画を立て直し、研究を遂行する。
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