2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01656
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
森谷 文利 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10509607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 健太 関西大学, 経済学部, 准教授 (00634247)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人事の経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は理論と実証の両面から,(1)裁判官の実際のキャリアパスの特徴,(2)裁判官のキャリアパスの決定要因を明らかにすること,(3) 裁判官は憲法上要請された役割をどの程度遂行できているかをあきらかにすることである.2021年度は,この目的を達成するために,3つの点(a) 裁判官のキャリアパスの決定要因を実証的に明らかにすること,(b)裁判官のキャリアパスの特徴と2つの代表的な理論(人的資本理論とスクリーニング理論)を関連付け,実証可能な命題を導出すること,(c) (b)に基づいた命題を実証すること,である. 「(a) 裁判官のキャリアパスの決定要因」では,4つの点(1) 入職・退職の状況から裁判所では内部労働市場が確立していること,(2) 早い昇進(いわゆるFast track)は観察されないこと,(3) 昇進が早いポストは確認されること(Fast Job, Clemens, 2012),(4) 昇進をもたらすジョブローテーションが存在すること,が確認されている(但し,(3),(4)については頑健な検証が必要である). 「(b) 実証可能な命題の導出」では,先行研究の結果を一つの統合したモデルに組み込み,どのような時に(2)-(4)が出現するかを検証しようとしている.人的資本の観点からすると,低ランクのジョブの経験が昇進後のジョブに補完的に作用する場合にはジョブローテーションが出現する一方,低ランクのジョブの補完性が弱く,一つのジョブの知識が昇進後に有用である場合には,ファストジョブによる昇進が出現する.但し,現実のデータでは混合形態が一般的であり,モデルの拡張が求められる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は理論と実証の両面から,(1)裁判官の実際のキャリアパスの特徴,(2)裁判官のキャリアパスの決定要因を明らかにすること,(3) 裁判官は憲法上要請された役割をどの程度遂行できているかをあきらかにすることである.2021年度は,既に述べたように(1)と(2)に関しては一定の研究の進展がみられている.しかしながら,本年度は最終年度であるにもかからわず,(3)の部分の進展が十分ではない.2020年度のコロナの影響によって研究の中断が生じたためである.よって,上記の進捗状況とした.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗が遅れているため,研究期間1年延長して対応することとした.引き続き,3つの点(a) 裁判官のキャリアパスの決定要因を実証的に明らかにすること,(b)裁判官のキャリアパスの特徴と2つの代表的な理論(人的資本理論とスクリーニング理論)を関連付け,実証可能な命題を導出すること,(c) (b)に基づいた命題を実証すること,を行うと同時に,YJLの変数を導入し,検証することとしたい.
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れており,次年度使用額が生じている.研究を完成するために1年の研究期間の延長をしており,次年度使用額を活用して研究を進めたい.具体的には,(1) データベースの利用期間の延長,(2) 海外の研究会や学会での報告をするための研究旅費,(3) 研究内容を英語で取りまとめるためのネイティブチェック費用などを計画している.
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