2021 Fiscal Year Annual Research Report
Evidence of municipal mergers and fiscal rules
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18K01662
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
広田 啓朗 武蔵大学, 経済学部, 教授 (10553141)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 財政ルール / 地方財政健全化法 / ストック・フロー調整 / 自治体クラウド / 広域連携 / 差の差の分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,財政ルールが財政赤字に与える効果の検証として,2007年度に公布,2008年度に施行された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(以下,健全化法)が,健全化指標に与えた影響を実証的に検証した。また,フローの赤字を抑制する一方で,ストックの債務残高が増加するかというストック・フロー調整の検証を実施した。分析では,健全化法の公布から施行のタイミングの違いと,旧制度下で定められていた外生的な閾値を利用して介入群と対照群を割り当てることによるDifference in Differences(DID)を用いた検証を試みた。分析により明らかになったことは以下である.第一に,旧制度下で起債制限比率が高かった市町村は,健全化法施行後に健全化4指標を改善させている.第二に,実質赤字は改善する一方で,地方債現在高は増加するというpositive SFAが発生していることが明らかになった.第三に,実質赤字が改善する要因は,上位政府からの移転財源の増加を通じた歳入の増加によりもたらされていることが明らかになった. また,行政のデジタル化の視点から,自治体クラウド及び単独クラウドと呼ばれるクラウドコンピューティングシステムが市町村の歳出に影響を与えるかどうかを実証的に検証した。特に,複数の市町村と連携してクラウドシステムを導入する自治体クラウドの導入が,市町村歳出に与える影響に着目した。分析では,自治体によるクラウド導入が進んだ時期である2007年度から2014年度の市町村データを用いて,クラウド導入が市町村歳出に与える影響をDifference in Differences(DID)という手法を用いた。分析より,導入から数年後に歳出は減少傾向にあることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)