2018 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Analysis on Self-Pay Ratio and Healthcare Inequality
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18K01666
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
田村 正興 名古屋商科大学, 経済学部, 准教授 (00711590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫田 さやか 同志社大学, 経済学部, 助教 (30780754)
和久津 尚彦 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 講師 (80638130)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療経済学 / 不平等 / パネルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、医療費の自己負担率の上昇は、医療費総額を減少させると同時に、医療の不平等性を拡大させる可能性があることをパネルデータを用いて実証する。イベントとしては2014年の70歳から74歳の医療費の自己負担率引き上げに着目しており、データとしてはJHPS(Japan Household Panel Survey, 日本家計パネル調査)を用いている。これまでこの政策変更に関しては、実証的評価・研究がほとんど行われていない。本研究では、特に高所得者と低所得者の間で、医療へのアクセスおよび医療費支出に大きな差が生まれているのではないかという問題意識の下、政策評価の視点からも分析を行っている。成果としては、初年度のため、論文の形で発表しているわけではないが、JHPSのデータセットを分析のために加工しており、より充実したサンプルを用いていくつかの回帰分析を行っている。特に医療需要や医療支出に影響を与える変数をある程度特定した他、さらに考慮が必要な変数やサンプルに関しても理解を深めることができた。詳細な分析のためには、上記の政策変更後、少なくとも数年のデータが必要であり、現状ではデータがまだ不十分であると言える。これは、政策変更後の短期的変化だけでは、個人の中長期的な調整行動が補足されず、効果が小さく測定される可能性があるからである。このような問題はあるものの、これからの分析のための基礎はできたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データセットの構築と、ある程度の分析を試すことができており、概ね順調だと言える。当初の予定通り、分析はこれからデータが揃ってからの完成を見込んでおり、そのための基礎づくりをしている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
これから、最新のデータが発表されるごとにデータセットを更新していく。また、分析手法もより正確な方法を用いて、また取り入れる変数の数を増やして充実させていく。
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Causes of Carryover |
研究会の開催回数が予定した回数より少なくなったため、少額の次年度使用額が生じた。今年度の研究会開催費用として使用する予定である。
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