2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K01668
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松本 睦 立命館大学, 経済学部, 教授 (00253766)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学会報告 / 論文投稿 / 租税競争 / 地域間協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
租税競争に関する文献精読及び論文作成を行い,学会報告を行った.具体的には,応用地域学会(南山大学)において,論文"Production inefficiency, cross-ownership and partial tax coordination"の口頭報告を行った.この論文は,学会後に修正加筆されて海外の学術雑誌に投稿されており,審査を受けているところである. 論文は,各地域による自律的・分権的政策決定が地域間移動する資本の配分を歪めるケースについて,地域間政策協調の厚生効果を分析したものである.その特徴は,従来の関連研究が資本輸入地域群と輸出地域群の間の政策協調を想定しているのに対して,資本輸入地域群のみ,あるいは輸出地域群のみによる政策協調をも検討していることである.このような協調は全地域のパレート厚生改善をもたらし得ない,というのが地域間協調に関する標準的議論である.しかしながら,今回の論文では,地域間移動しない資源(土地等)の所有権が多地域に分散している状況下では,資本輸入地域群のみ,あるいは輸出地域群のみによる政策協調がパレート改善をもたらし得ることを証明している.即ち,論文は従来"決して有益ではない"とされてきた地域間協調パターンの有益性を示すものであり,租税競争下の協調政策の在り方に一石を投ずる内容となっている. 政策協調の形態としては,従来の研究では,協調地域による均一税率の設定を前提することが多い.これに対して,論文では地域間で税率差を縮めるという緩い形態の政策協調を分析している.この意味において,より現実的な政策協調を分析していると言えよう.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目標は,「海外の専門雑誌掲載に耐えうる論文の作成」である.このためには,まずは論文を作成し投稿しなければならない.未だ審査結果は出ていないものの,「論文を投稿する」という最低限の目標はクリアーした. 他方で,予定していた研究会を開催できなかった.関係者間で日程調整に手間取ったことや研究代表者自身の他大学の転出決定等の事情が重なったためである.このため,取り組みやすい個人研究に注力し,学会報告・投稿した論文の他にも作業進行中の論文が幾つかある.従って,個人研究の進行状況は概ね順調と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,関連分野の最先端研究をフォローしつつ,租税競争に関する論文作成・投稿を継続する.また,昨年度開催できなかった研究会の開催も視野に入れて,類似した研究を展開する学者と交流を深めたい.
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Causes of Carryover |
元々計画していた研究会が,報告依頼予定者とのスケジュール調整上の問題や研究代表者の移籍決定に伴う諸業務のために,実施できなかった.その経費を専門種収集に充てたが,結果として20,000円弱の次年度使用額が発生した.この額は,研究会開催経費(謝礼)等に充当する予定である.
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Research Products
(1 results)