2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K01670
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
呉 テツ人 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50581196)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者就業 / 年金 / 世代間関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は主に中国の高齢者の就業行動に着目し、実証分析を行いました。具体的に、“China Health and Retirement Longitudinal Study”(2015)の調査データを用いて、60歳以上のサンプルを分析対象とし、「働くかどうか」「働く時間」を被説明変数にし、分析を行いました。その際、特に①高齢者本人の年金給付が高齢者の就業に与える影響、②世代間関係(親や子供と同居するかどうか、親の要介護状況、孫の有無)の影響に注目しました。 分析結果として、①年金給付は高齢者の就業行動に明らかに負の影響を与えます。これは所得効果のほか、仕事の属性(例えば自営業の場合、年金給付がない、或いは少ない、定年がない)が影響しています。仕事の属性の影響を完全に取り除いた年金給付の影響を分析することがこれからの課題です。 ②について、全体的に親や子供との同居、親・孫の世話をすることは就業行動に負の影響を与えます。ただし、現段階の実証分析ではまだ内生性を考慮していません。地域の世代同居率などの指標を操作変数として利用する予定ですが、現段階でその指標がまだ手に入っていません。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度の進捗は予定よりずいぶん遅れました。 原因: 計画では中国に行って現地調査を行い、そして北京大学に行って、アクセス制限のある調査対象の所在地の分かるデータを利用して分析を行う予定でした。しかし、2019年前半と年末に咳喘息で肋骨が骨折し、声も長期間出なくなりました。その結果、大学の夏休みと冬休み期間に調査に行くことが不可能になり、通常の分析も遅れました。2020年2月末に体調が回復しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、渡航を断念しました。
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Strategy for Future Research Activity |
①コロナ感染の状況にもよりますが、可能であれば今年度に北京大学に行き、アクセス制限ありのデータを利用したいです。また可能であれば調査チームと一緒に現地調査にいきたいです。
②その前に、現在手元にある往年のデータからほかの操作変数を検討します。
③コロナウイルス感染の影響が長期化する場合、研究期間の延長を検討しないといけないかもしれません。
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Causes of Carryover |
体調不良とコロナの影響で中国での現地調査と北京大学での研究を実施することができませんでした。 研究進捗も予定より遅れましたが、次年度以降に詰めて実施したいと思います。
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