2019 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Analysis of the Effect of Prefectural Ordinance of Juvenile Protection on Juvenile Delinquency
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18K01671
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 恵子 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (90441104)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 実証分析 / 少年非行 / 青少年保護育成条例 |
Outline of Annual Research Achievements |
青少年保護育成条例は青少年の保護育成とその環境整備を目的に地方自治体が公布した条例の統一名称である。少年法もまた非行を抑止する機能が期待されるが、全国一律で施行されるため、改正の前後を比較することはできるものの、その抑止効果を推定することは難しい。青少年保護育成条例は、1950年代から各地で制定され始めた一方で、長野県は2016年に制定されており、制定、施行時期にばらつきがある。さらに、有害図書等の制限や深夜外出の禁止等、施行のありかたにも地域の違いがみられる。こうした違いが少年犯罪に影響を与えているかどうかを1975年から2000年までの青少年保護育成条例の都道府県別のデータを構築したうえでこの条例の存在が青少年の保護育成にどの程度寄与したかについて分析を試みた。 分析から有効求人倍率に少年非行を予防する効果があることが明らかとなった。これは、有効求人倍率が高い時は経済状況が良い時期であり、未成年が車やオートバイに触れる機会が多くなるためであると考えられる。警察官数、条例施行の係数に関しては正の値で有意という、モデルとは整合的でない結果が得られた。こうした理由として、警察官数が多いことでより多くの少年を検挙できた可能性、条例の施行直後に非行行動を是正する効果は見られないことから、施行そのものに非行行動を抑制する効果はない可能性が考えられる。内生性を考慮した分析では、条例の係数の符号が変わり、少年粗暴犯と鑑別所収容人員において条例の抑制効果が観察された。ただし、操作変数の吟味については課題が残されている。 これら分析結果は2019年6月の日本応用経済学会、8月のThe AJRC Seminar Seriesにおいて発表された。得られた知見の一部は桃山学院大学総合研究所紀要において発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題で都道府県パネルデータを用いた分析と個票データを用いたプロビットモデルによる分析を予定していた。当該年度は、都道府県パネルデータを用いた分析において分析を行い、国内外において研究報告を行った。その際に得られたコメントをもとに、改訂作業を進めている状況である。ただし、パネルデータ分析の改訂作業量が予想以上であったことと新型コロナウィルス感染拡大の影響により、個票データを用いたプロビットモデルによる分析が遅れてしまっている現状がある。この遅れに関しては今後スケジュールの調整によって改善していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
都道府県パネルデータ分析を取りまとめ論文として投稿を行うことと、個票データを用いたプロビットモデルによる分析を夏休みまでに終える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、当初予定していた国際学会等の開催が取りやめになったため。
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