2023 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Analysis of the Effect of Prefectural Ordinance of Juvenile Protection on Juvenile Delinquency
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18K01671
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 恵子 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (90441104)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少年非行 / 青少年保護育成条例 / 経済分析 / 実証分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、青少年保護育成条例の少年非行に及ぼす影響を都道府県パネルデータを用いた分析と個票データを用いたプロビットモデルによる分析を行った。 当該年度は東大社研・壮年パネル調査、若年パネル調査の個票データを分析し、回答者が15歳の時に授業をサボった、学校で喫煙した、教師に暴力をふるったなどの経験を問う質問項目を少年非行としてあつかった。その結果、男性と女性で大きく行動が異なること、通っていた学校の環境、通信教育のような学習機会、両親の教育年数が影響を及ぼすという結果を得た。その一方でひとり親家庭の影響は極めて限定的であった。こうした分析結果は15歳当時の回顧データであり、バイアスの可能性は否定できないが、個票データを用いた少年非行に関する経済分析の希少な蓄積である。Asian and Australasian Society of Labour Economics 2023 Conference、桃山学院大学共同研究プロジェクト【22共286】第9回研究会にて分析結果を発表した。 当該年度まででは、パネルデータ分析から有効求人倍率に少年非行を予防する効果があることが明らかとなった。警察官数、条例施行の係数に関しては正の値で有意という、モデルとは整合的でない結果が得られた。こうした理由として、警察官数が多いことでより多くの少年を検挙できた可能性、条例の施行直後に非行行動を是正する効果は見られないことから、施行そのものに非行行動を抑制する効果はない可能性が考えられる。内生性を考慮した分析では、条例の係数の符号が変わり、少年粗暴犯と鑑別所収容人員において条例の抑制効果が観察された。都道府県の独自性を比較した研究では都道府県において独自の事情があり、特色ある取り組みがなされてきた背景が示唆された。
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